2019 Fiscal Year Research-status Report
保健師による虐待予防のための介入方法の開発に関する研究
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19K11017
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Research Institution | Komazawa Women's University |
Principal Investigator |
松尾 真規子 駒沢女子大学, 看護学部, 講師 (10301706)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 保健師 / 養育者 / 新生児訪問 / 援助要請 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、保健師-養育者関係の構築に必要な保健師の言動を明らかにすることを目的に調査を行った。まず、2019年6~8月、東京都下の市区町村において母子保健活動に従事する保健師9名、及び関東に在住する乳幼児の養育者10名に対し、半構成的面接を実施し、得られた内容をそれぞれ逐語録に起こし、KJ法に準拠して分析した。その結果、保健師の言動として【ニーズに沿った支援】【育児に対する肯定的なフィードバック】等5つの大カテゴリが抽出された。養育者が安心できた保健師の言動として、【ニーズに沿った支援】【あたたかみや優しい雰囲気】等6つの大カテゴリが抽出された。これらの結果をふまえ、新生児期の家庭訪問における保健師の言動が、現在の保健師に対する援助要請や、育児ソーシャルサポートの活用と関連するだろう、と仮説を立てた。この仮説を検証することを目的とし、2019年11月、関東地方にある保育園・幼稚園・認定こども園計3園に依頼し、質問紙および返信用封筒を計500部配布、個別に郵送にて回収した(有効回答率35.6%)。階層的重回帰分析の結果、保健師の相談への信頼と「ニーズに沿った支援」に正の関連がみられた。保健師によるニーズに沿った支援を受けたと感じた養育者は、現在の相談への信頼につながっており、仮説の一部が支持された。また、保健師の相談の侵害性と「意見の押しつけ」が正の関連を示していた。保健師による意見の押しつけを受けたと感じた養育者は、保健師への相談は侵害性があるととらえており、仮説の一部が支持された。一方、新生児期の家庭訪問での体験は、育児ソーシャルサポートの活用には関連が見られず、仮説は一部支持されなかった。 新生児期の家庭訪問における保健師の言動が、現在の保健師に対する援助要請と関連することが実証的に示されたことで意義があると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り、質的研究及び量的調査の実施ができたが、海外視察は未実施である。
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Strategy for Future Research Activity |
保健師の介入のための支援方法の開発のため、海外の視察を予定していたが、新型コロナウィルス感染拡大のため、見通しが立たない状況である。まずは、文献レビューを行い、効果的な支援方法を検討したい。 また、現在、養育者の内省機能を測定する海外の尺度"PRFQ"を翻訳中である。これについて日本語版として信頼性・妥当性の検証を今年度中に行い、来年度これを用いてさらに研究を進める予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大のため、予定していた海外視察が未実施であるため。まずは文献レビューにより、介入方法を再検討しながら、実現可能性を探る。
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