2021 Fiscal Year Research-status Report
産後ケアを包括し3つのSを実現するエビデンスに基づく未来志向院内助産システム構築
Project/Area Number |
19K11027
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
濱田 洋実 筑波大学, 医学医療系, 教授 (60261799)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小畠 真奈 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (20420086)
大原 玲奈 筑波大学, 医学医療系, 講師 (90725772)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 院内助産システム / 産後ケア |
Outline of Annual Research Achievements |
産後ケアを包括し、3つのS、すなわち分娩に関わる女性やその家族、助産師の「Smile笑顔、Safety安全、Satisfaction満足」を実現できる、科学的エビデンスに基づく未来志向の新しい院内助産システムの構築を目的に、4年計画の3年目の研究を遂行した。 研究計画通りに、まず年度はじめにはそれまで2年間運用してきた院内助産システムの改訂案を策定した。このシステム(改訂案)沿って、1年間院内助産を前向きに運用した。その結果、院内助産数は計88例であった。全例が経腟分娩であり、分娩停止や胎児機能不全などの医学的適応により医師による帝王切開が施行された症例はなかった。全例において、母児に大きな分娩合併症はなく、策定したシステム(改訂案)の「Safety安全」は担保できていると考えられた。患者女性・家族からの評価も、これまでと同様に良好であった。 また、現在の院内助産をとりまく国内の状況を知るために、全国の総合周産期母子医療センターおよび大学病院(本院)を対象にアンケート調査研究を行った。その結果、回答のあった施設のうち29.7%で院内助産を行っており、これは我々が2017年に調査した結果(20.9%)より有意に増加していた。また、48.6%の施設が「院内助産は地域の産科医療提供体制の一部として有用であり、積極的に取り入れるべきである」と回答しており(2017年は41.9%)、我が国の地域産科医療において院内助産の重要性が少しずつ認識されてきていることが明らかとなった。加えて、産後2週間健診を受診する褥婦の傾向とそうした褥婦への助産ケアについて研究を行い、産後2週間健診が育児不安を抱える褥婦のニーズを満たす支援の場となり得ることを明らかにした。これらの研究から、次年度以降、本研究をさらに推進するためのエビデンスを得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画自体には特に問題はなく、これまで3年間の「研究の目的」の達成度としては順調に進展している。しかしながら、地域の分娩数の減少に伴い、対象となった患者数が結果的には当初の目論見よりはやや少なく、残念ながら当初の計画以上とはいえないと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画そのものの変更は不要と考えられ、現在の研究計画に沿って研究を継続・推進していきたい。我が国の周産期医療の未来を志向するためには、 今年度の研究で明らかとなった現在の院内助産をとりまく国内の状況や産後2週間健診の有用性をふまえた研究成果の解析も重要と考えられ、そうした解析を積極的に遂行し、今後の研究全体の推進を図りたい。
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Causes of Carryover |
使用する予定であった研究分担者が一定期間病休したため、今年度中に全額の使用ができなかった。対象となった患者数が予定より少なかったために、今年度の研究に大きな支障は生じなかった。 次年度使用額については、本研究開始時の計画にはなかった産後2週間健診の有用性をふまえた研究成果の解析を、当該研究分担者が次年度に担当するため、その解析に使用する計画である。
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Research Products
(1 results)