2020 Fiscal Year Research-status Report
小児1型糖尿病患者と家族の成人型医療への円滑な移行を促進するガイドラインの開発
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19K11034
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
野本 美佳 愛媛大学, 医学系研究科, 助教 (90830901)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
薬師神 裕子 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (10335903)
中村 慶子 横浜創英大学, 看護学部, 教授 (40263925)
濱田 淳平 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (80637900)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 思春期・青年期1型糖尿病患者と家族 / 郵送による調査への変更 / ガイドライン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究における2020年度の研究成果は、研究協力の内諾を得ていた7県のうち4県の糖尿病家族会担当者もしくは医療責任者と、新たに協力の承諾を得た1県の糖尿病家族会担当者に調査用紙を郵送し調査を進めたことと、ガイドラインの作成を進めたことである。 計画当初は、2019年度に開催される小児糖尿病キャンプに合わせて、全国の12~20歳までの小児1型糖尿病患者とその保護者を対象に、成人型医療への移行のプロセス(トランジション)における準備状態(レディネス)と保護者の認識に関する無記名自記式質問紙調査を行う予定であった。しかし、研究計画書及び質問紙の改良のため質問紙調査を2020年度に延期したところ、2020年度は新型コロナウイルス感染拡大により全国のキャンプが中止となり、キャンプでの質問紙調査が不可能となった。 そのため、調査を2021年度のキャンプの際に再延期することを計画していたが、新型コロナウイルス感染が収束せず、2021年3月時点で2021年度の対面でのキャンプ実施が難しい状況にあると考え、研究協力の内諾を得ていた医療責任者に連絡を取った。そこで個別で調査方法を相談・調整し、計5県で可能な範囲で対象者に調査用紙を郵送していただけることとなった。 徐々に回答が返ってきているものの、各県で郵送数が異なるため回答数に地域差があることと、郵送での依頼のため回収率が低いことから、思うように回答数が得られていない状況である。 また、調査と並行しガイドラインの作成を進めた。内容としては、移行の必要性と移行の準備状況についての質問表の説明、移行の準備についての具体的な説明、患者が移行について質問したい内容や心配事を直接記入できるページの作成を進めている。対象は思春期・青年期の患者であることから、イラストなども使用し、説明が多くなり過ぎないよう、見やすいものになるよう工夫している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度のキャンプで実施できなかった質問紙調査を郵送での調査に変更したものの、内諾を得ていた全ての県で実施できてはいないため、進捗状況は遅れている。 以下に詳細を述べる。 2020年度のキャンプ中止により質問紙調査を次年度に延期したが、新型コロナウイルス感染が収束せず、2021年3月の時点で2021年度も対面でのキャンプ実施が難しいと考えたため、各県担当者と相談・調整を行った。その結果、内諾を得ていた4県と新規1県で郵送による質問紙調査を実施できた。しかし、内諾を得ていた全ての県で郵送での調査が実施できたわけではない状況であることから、進捗状況は遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、郵送での実施(一部実施)が可能となった5県への質問紙一式の発送を行い、対象者からの回答も返ってきている。しかし、郵送での依頼ということで回収率は低い。今後も残り3県の担当者と連絡を取り、2021年度のキャンプ実施の有無、キャンプ中止の場合、郵送での調査実施が可能か等を確認し、どのように調査を進めていくかを個別で相談していく。 そして、ある程度質問紙を郵送してからの時間を見て分析を行う。分析に関しては、①日本語版「Am I ON TRAC- for Adult Care Questionnaire」の信頼性・妥当性の分析及び②小児期発症1型糖尿病患者のトランジションにおけるレディネスと保護者の認識と希望するサポートの把握を行う。 また、結果の分析と並行し、ガイドラインの作成を継続して行う。項目としては、昨年度に記載している内容から大きな変更はなく、①移行の必要性と準備に関する具体的な説明、②移行について患者と保護者が不安に思っている内容に対する回答、③先輩からのアドバイスとする。一方的な知識補充のための冊子ではなく、患者が自身のことを直接記入できるようにし、患者が移行について質問したい内容や将来について考えていること、心配事を直接記入できるページを設け、冊子を受診時に持っていくことで、移行に関する話題を含めた医療者との対話を促進できるツールとなるよう工夫する。また、医療者のかかわりが、この冊子を使用した画一的な指導とならないよう、進める早さ、順番なども本人と相談しながら決めていけるようなものとする。これらにより、ガイドラインを「小児糖尿病患者のための移行期手帳」として活用できるものにしていく予定である。
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Causes of Carryover |
本来、キャンプ開催に合わせアンケート依頼のために各県を訪れるための調査旅費を経費としてあげていたが、2020年度はキャンプが中止となり、アンケート依頼のための調査旅費を使用しなかった。現地訪問でのアンケート依頼の代わりに、郵送での調査を行うこととしたため、郵送費及び料金受取人払での費用が追加となったが、金額としては郵送費の方が金額は低いため、次年度使用額が生じた。 次年度使用計画を以下に記載する。 ①質問紙一式印刷のためのトナーカートリッジ代、②質問紙封入用封筒代、③対象者への質問紙郵送費及び料金受取人払での質問紙の回収費、④調査旅費、⑤対象者への謝礼としての文具代、⑥研究分担者への分担金 上記を計画している。
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