2019 Fiscal Year Research-status Report
子ども虐待ケアに携わる看護師のセルフマネジメントプログラムの開発と評価
Project/Area Number |
19K11044
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
辻 佐恵子 北里大学, 看護学部, 講師 (70422889)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌田 佳奈美 摂南大学, 看護学部, 教授 (30252703)
小島 ひで子 北里大学, 看護学部, 教授 (50433719)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 子ども虐待 / 看護師 / 感情 / ストレスマネジメント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は虐待ケアに携わる看護師を対象としたセルフマネジメントプログラムを開発・施行し、その効果を評価することである。今年度は文献検討を行い、「虐待ケアにおける看護師のセルフマネジメント」の概念分析を実施し、プログラムに必要な要素および適切な尺度を抽出することを目的としていた。 文献検討の結果、看護師の心身の状態のマネジメントにおいては、「ストレス」という概念が切り離せないことがわかった。そのため、「ストレス(stress)」「ストレスマネジメント(stress management)」「看護師(nurse)」「子ども虐待(child abuse, maltreatment)」のキーワードでPubmed, CINAHL, 医中誌での文献検索を継続している段階である。これまでの検討の結果、研究の中心テーマである子ども虐待に携わる看護師のストレスに言及した内容の先行研究は海外文献を含めてもほとんどみられなかった。そのため、「看護師」「ストレスマネジメント」のみならず、子ども虐待ケアに携わる看護師の「感情(emotion)」にも焦点を当てて文献検索を実施している。 その中で、「子ども虐待ケア」に特徴的にもたらされるストレスとは何か、虐待事例以外のケアとどのような点が異なるのか、また看護師がケアにあたってどのようなサポートを必要としているのかという点が極めて不明瞭であり、まずはこれを明らかにする必要があると考えた。よって、新たに子ども虐待ケアを実践している看護師を対象にした質的調査の計画を立案し、所属機関の研究倫理審査委員会の承認を得た段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
概念分析にあたり、目的に則した文献検索が難航し、扱う概念(ストレス)やキーワード(感情)を追加して検索・検討を継続している。そのため、概念分析が当初の予定通り進められていないことが遅れの理由のひとつである。また、文献検討の結果、研究目的であるプログラムの開発・実践にあたって、概念分析のみではプログラムに必要な要素やアウトカムを測定する尺度の抽出が困難であることがわかった。このため、新たに質的調査を計画している。本調査は所属機関の研究倫理審査委員会の承認は得られているが、昨今の新型コロナウイルス感染拡大を受け、調査対象である病院および看護師に調査依頼を出せない状況であることも進捗の遅れの要因のひとつである。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、概念分析結果を論文投稿すると同時に、承諾が得られた対象者よりデータ収集を進めていく。データ収集においては、対象が医療機関で勤務している看護師であるため、現況を鑑みれば調査依頼が困難な状況ではあるが、まずは物理的に広範囲な移動を必要としない近隣の施設より依頼を行っていく。また、研究分担者の居住地区の状況に応じて、調査が可能であれば随時実施していく。調査が進まない場合であっても、概念分析の結果からプログラムに必要な要素を抽出し、プログラムの試案に繋げる作業を継続する。
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Causes of Carryover |
当初の計画では国際子ども虐待防止学会に発表、参加する予定であったが、本年度は当該学会の開催がなかったことによって、学会参加費および交通費の支出がなかった。また所属機関外の研究分担者との打ち合わせ会議がメールおよび電話で行われたことによって、交通費および会議費の支出が不要であった。これにより、大幅に支出の減額が生じた。 次年度は、アデレードでの国際学会に参加する予定であるため、学会参加費および交通費の使用や、質的調査のための交通費、謝金、その他雑費の使用が見込まれる(ただし、国際学会に関しては、新型コロナウイルス感染拡大状況によっては参加できない可能性がある)。また、調査結果の分析にあたり、所属機関外の研究分担者との検討が必要となるため、会議費の使用も予測される。
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