2019 Fiscal Year Research-status Report
養育者のメンタルヘルス改善を軸とした乳幼児揺さぶられ症候群予防プログラムの開発
Project/Area Number |
19K11047
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Research Institution | Nippon Sport Science University |
Principal Investigator |
岡本 美和子 日本体育大学, 児童スポーツ教育学部, 教授 (70435262)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 乳幼児揺さぶられ症候群 / 産褥期 / メンタルヘルス / 初産婦 / 子育て支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
母親のメンタルヘルス改善に寄与すると考えられる新たな乳幼児揺さぶられ症候群予防プログラムを開発するため、2019年度は探索研究の一環として質的調査を実施した。対象者は周産期において重篤な問題がなく調査施設で開講する育児学級に参加、研究協力の同意が得られた初産婦5名である。インタビュー時期は、子どもの泣きがピーク期となる出産後1か月半から2ヵ月であった。調査は「母親のメンタルヘルス」「泣きへの対処方法」「泣きの特徴」をKey Wordにインタビューガイドを作成、半構成的面接を実施した。分析方法は質的記述的研究の手法によりコード化、サブカテゴリー化、カテゴリー化を行い、カテゴリー間の同質性や違いについて検討した。分析の結果、対象者全員が出産後2~3週頃から子どもの泣きが増加し1ヵ月過ぎがピークであると実感、ピーク時は「悲しい」「苛立った」等情緒的動揺を経験していた。また退院後から身近に支援者がおり気持ちが楽になる、安心する経験につながる支援が得られていた。 分析した結果56コード、20サブカテゴリー、10カテゴリーが抽出された。明らかになったカテゴリーは「心身の回復に伴う育児への適応感」「夫からの理解ある言葉かけ」「夫が育児の伴走者」「育児経験者からの有効な支援」「子どもの成長に伴う育児力の向上」「子どもの泣きへの理解と共感」「泣きがもたらす情緒的動揺」「情緒的動揺への対処」「自分メンテナンスのための時間」「適切な育児情報の必要性」であった。対象者全員が産後の1か月健診過ぎから心身の回復を実感し、その経緯には夫や実母からの理解ある支援や言葉かけがあった。また子どもの成長に伴って構築される日々の生活リズムが母親の安心感と疲労の軽減につながり、子どもの泣きやぐずりに対し当初は理解できないものであったが徐々に意味のある要求や表現であるとの理解と認識に展開していくことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度の研究計画では、「母親のメンタルヘルス」「泣きへの対処方法」「泣きの特徴」をKey Wordに出産後の母親を対象に子どもの泣きに直面した際の気持ち、泣きへの対処方法、気持ちが楽になった支援等についてインタビューガイドを作成し半構成的面接を実施、研究成果を関連学会に報告するための準備をすることであった。調査を実施し分析した結果、56コード、20サブカテゴリー、10カテゴリーが抽出され、「心身の回復に伴う育児への適応感」「夫からの理解ある言葉かけ」「夫が育児の伴走者」「育児経験者からの有効な支援」「子どもの成長に伴う育児力の向上」「子どもの泣きへの理解と共感」「泣きがもたらす情緒的動揺」「情緒的動揺への対処」「自分メンテナンスのための時間」「適切な育児情報の必要性」のカテゴリーが明らかになった。これら研究成果を国内の学会では発表できたが、国際学会においては抄録が受理され6月発表予定であったがCovid-19感染拡大で2021年に延期となった。 また、研究協力者と共に乳児期早期の子どもの観察と理解につながる観察ポイント、子どもとの相互作用を促すやり取りのポイントを修得する技術を習得することを予定していた。この予定については、研究協力者と共に研修会への出席や技術習得のための講習会に参加するなどして実施・達成することができた。以上のことから、2019年度の本研究に関する進捗状況は、当初の予定通り研究経計画に沿っていると判断し、おおむね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は2019年度に実施した調査研究の分析結果を基に、母親のメンタルヘルス改善に寄与すると考えられる新たな乳幼児揺さぶられ症候群予防プログラムを企画、またプログラムとして使用する小冊子を作成する。作成に際しては、申請者が以前作成した泣きへの対応および乳幼児揺さぶられ症候群予防小冊子を参考にする予定である。作成にあたっては、出産後早期の初産婦が育児への適応の時期に母子相互作用を促すことに寄与する内容を包含するとともに、見やすさ読みやすさ、そして活用のしやすさを重視する。また小冊子作成の過程においては、研究協力者のみならず子育て中の母親の意見も十分に取り入れたいと考えている。
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Causes of Carryover |
Covid-19感染拡大に伴い関連学会への参加が延期となったことで、共同発表者との打ち合わせに係る交通費等が残額として生じた。延期となった学会については、2021年度実施される予定となり再度参加の手続きを行っている。そのため共同発表者との打ち合わせ等で次年度順調に使用できると考えられる。
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Research Products
(2 results)