2023 Fiscal Year Annual Research Report
養育者のメンタルヘルス改善を軸とした乳幼児揺さぶられ症候群予防プログラムの開発
Project/Area Number |
19K11047
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Research Institution | Nippon Sport Science University |
Principal Investigator |
岡本 美和子 日本体育大学, 児童スポーツ教育学部, 教授 (70435262)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 乳幼児揺さぶられ症候群 / メンタルヘルス / 子育て支援 / 子どもの泣き / 初産婦 / 経産婦 / 介入 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、乳幼児揺さぶられ症候群予防と共に母親のメンタルヘルス改善に寄与すると考えられる新たなプログラムを開発することである。2023年度は仮説検証の一環として出産後早期の育児クラスで介入調査を開始した。調査で使用する小冊子にはSBSへの予防効果を高め母親のメンタルヘルス改善に繋がると考えられる「わが子の特徴を捉え理解し感度良く子どもの要求に応える」、「子どもの泣きを推察し要求に沿った具体的な対処を行う」、「身近な支援者から支援を得る」、「上手な休息の取り方・気分転換の方法」等の内容を包含した。また介入効果を検証するための質問紙には、親の属性や育児・生活状況、泣きと対応に関する知識、SBSに関する知識であった。また介入前後の子どもへの感情については、花沢の対児感情尺度(改訂版)28項目、母親の気分や心理状態についてはPOMS(Profile of Mood States)を使用した。本調査は研究者が所属する大学の倫理審査委員会の承認を得て実施したが、対象施設の感染症対策を講じた中での実施となった。そのため、参加者数及び開催回数を制限しての開講となった。 結果、対象者数は21名(初産婦14名、経産婦7名)であった。質問項目について介入前後で検討した結果、なだめでもなかなか泣きやまない泣きがある、泣きに耐えられない時は安全を確かめて子どものそばを離れてもよい、泣きやませるために揺さぶってはいけないが有意な差を示した。また、母親のメンタルヘルスについては、有意差は認められなかったものの怒り-敵意、抑うつ-落込み、疲労‐無気力が介入後に低値となった。対児感情については、接近得点が介入後にやや高値を示した。本研究は目的に沿った一定の介入効果は認められたが、前後比較研究であったことから、今後はエビデンスレベルを高めるため対象者数を増やす、対照群を設定するなどの検討が必要である。
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