2019 Fiscal Year Research-status Report
Constructing a culturally-appropriate maternity care (CAMC) model for foreign women in Japan.
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19K11054
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Research Institution | Kawasaki City College of Nursing. |
Principal Investigator |
五味 麻美 川崎市立看護短期大学, その他部局等, 講師 (70510246)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 文化に適合したケア / 在日外国人 / 助産ケア / 文化 / ケアニーズ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、在日外国人女性に対する文化に適合した助産ケア(Culturally Appropriate Maternity Care:CAMC)の概念を明らかにし、在日外国人女性に対するCAMCモデルを構築することである。 2019年度は文献検討を進めるとともに、予備研究としてCAMCの有効性に関するシステマティックレビュー、CAMCの概念分析、助産師を対象とした半構造化面接、在日外国人女性を対象とした半構造化面接を実施した。システマティックレビューでは7件のRCTについてレビューを行い、CAMCの有効性を確認した。また、概念分析によりCAMCを「多様な文化や価値観・ニーズに対する高い感受性と調整力を持ち、人を中心とした平等で敬意のある継続的で質の高い助産ケア」と定義した。助産師を対象者とした半構造化面接では、在日外国人に対する助産ケアの現状および特性として3つのコアカテゴリー、12のカテゴリー、32のサブカテゴリーが抽出された。助産師は在日外国人の中でも特にムスリム(イスラム教徒)と中華圏の方々に対するケアの困難さについて多く語っていた。在日外国人女性を対象とした半構造化面接では、日本での妊娠、出産体験として3つのコアカテゴリー、8つのカテゴリー、10のサブカテゴリーが抽出され、助産ケア・ニーズとして2つのコアカテゴリー、7つのカテゴリー、23のサブカテゴリーが抽出された。女性たちからは自らの信念や価値観を持ちながらも(胎)児や家族、日本の現状など様々な相互作用の中で折り合いをつけ、自分なりのCulturally appropriateを実践する様が語られた。 文献検討および予備研究から得た示唆により、次年度は在日外国人女性の中でもムスリム女性に焦点をあて、在日ムスリム女性に対するCAMCモデルの構築を目指して研究を進める方針とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度計画に則り、第1段階として文化に適合した助産ケア(Culturally Appropriate Maternity Care:CAMC)に関する文献検討とシステマティックレビュー、概念分析を実施し、第2段階として助産師および在日外国人を研究対象者とした2つの半構造化面接を実施した。また、ICN Congress 2019 Singaporeにおいて研究成果を発表した。2020年2月に予定していた国外フィールドワークは新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から中止としたが、本研究の基礎となる文献検討、システマティックレビュー、概念分析、助産師と在日外国人女性を対象とした2つの半構造化面接は計画的に実施でき、研究成果の公表も進んでいることから、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画段階ではミックスメソッドを予定していたが、文献検討や予備研究の結果、より探索的な研究プロセスによって概念モデルの構築を目指す必要があると考え、研究デザインをシンボリック相互作用論を理論的前提に置いた修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)による質的研究に変更した。 予備研究の結果に基づき、2020年度は在日外国人の中でも宗教上の行動規範から特別な配慮を求められることが多いムスリム女性に焦点をあてて研究を進める。第1段階では多様なニーズや価値観、Culturally appropriateが形成されるプロセスや機序を中心的な「問い」として半構造化面接を実施する。在日ムスリム女性たちの出産体験の語りをM-GTAを用いて分析し、様々な相互作用の中で折り合いをつけながら作りだし実践している個人レベルのニーズや価値観、Culturally appropriateについて探求する。第2段階ではグラウンデッド・セオリーのカテゴリー相互の関係から分析テーマで設定したプロセスを説明し、理論(説明モデル)を生成する。そして第3段階で提示されたグラウンデッド・セオリーから、在日ムスリム女性に対するCAMCモデルを構築する。また、予備研究の研究成果の公表も進める予定である。
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Causes of Carryover |
国外での学会発表およびフィールドワークの予算を計上していたが未使用となったため次年度使用額が生じた。未使用となった理由は以下の通りである。①研究成果発表の学会参加費用については、国際学会での発表者を対象とした国際奨学金が支給され、奨学金を学会参加費に充当したため科研費からの支出がなくなった。②国外フィールドワークについては、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から渡航を中止したため予算未使用となった。次年度以降も国際学会での研究成果発表や国外フィールドワークを計画しているため、次年度使用額に計上された予算について適正かつ効果的に執行していく予定である。
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Research Products
(1 results)