2021 Fiscal Year Research-status Report
妊娠から産後1年までの排尿機能の変化と尿失禁の発症に関する前向き観察研究
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19K11060
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
佐藤 珠美 佐賀大学, 医学部, 教授 (50274600)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 満 佐賀大学, 医学部, 教授 (00325648)
中野 理佳 佐賀大学, 医学部, 准教授 (80588707)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 妊婦 / 褥婦 / 排尿機能 / 排尿機能障害 / 尿失禁 / 前向き観察調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
妊娠初期から産後1年まで6回以上回答した245名の内、妊娠前と妊娠初期の尿失禁の有無が不明を除く231名の尿失禁率は妊娠前15.1%・妊娠初期15.1%・中期53.2%・後期65.6%で、産後は1か月26.2%・3か月25.0%・6か月30.0%・1年31.4%で推移した。 層別分析は完全データ195名を対象にした。連続する2地点で比較し、妊娠初期と中期(P<0.001)、中期と後期(P<0.001)、妊娠後期と産後1か月(P<0.001)、3か月と6か月(P<0.001)で有意差があった。 初経別では妊娠中期と後期のみで経産婦の尿失禁率が高かった(P<0.001)。妊娠期・産後ともに今回2回目分娩の尿失禁率が高く1回目、3回目以上の順であった。年齢では有意な差は無いが、28歳未満は産後1か月から1年までに尿失禁率が低下するのに対し、他の年齢層は増加した。体重は8㎏以上の増加で後期(P<0.001)の尿失禁率が高くなった。病院受診を躊躇う人は、そう思わない人に比べ尿失禁率が高かった(P<0.05)。運動習慣では、産後1年の体操実施者に尿失禁率が高かった(P<0.01)分娩関連では、会陰裂傷Ⅱ度は、無と1度に比べ産後3か月(P<0.05)、6か月・1年(P<0.01)で尿失禁率が高かった。平均分娩時間は、第1期の時間が産後6か月(P<0.05)に、分娩第2期の時間が、産後3か月(P<0.05)で尿失禁の有無に関連していた。産後6か月迄の月経再開は産後3か月(P<0.001)と6か月(P<0.05)の尿失禁有無に関連していた。 ICIQSFによる尿失禁タイプは、妊娠初期は切迫、中期は腹圧、後期は混合、産後3か月は腹圧と混合、産後6か月は腹圧と切迫、産後1年は腹圧が高かった(P<0.001)。尿失禁の有無によるUDIスコアは、全期間を通じて尿失禁有が高かった(P<0.001)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
妊娠初期から産後1年まで、入院中を含む7回の調査を地域周産期母子医療センター2施設、診療所1施設で行なった。また、入院中を除く6回の調査を8診療所で行った。新型コロナ感染拡大で協力者の減少により調査期間が長引き、婚姻、妊娠出産育児期は転院・転居が多く、長期の里帰りも増える等により追跡困難な状況があった。産後1年までの調査をほぼ完了した。現在は、基本統計、妊娠初期から産後1年までの層別解析を終え、現在時系列解析、探索的解説を進め、論文投稿の準備をしている。
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Strategy for Future Research Activity |
妊娠から産後1年までの排尿機能の変化と尿失禁の発症に関する前向き研究では、探索分析、介入モデルの検討を進める。これらの成果をもとに、学会発表、論文作成、投稿を行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は予定額では550,000円を計上しており、最終的に574,561円となった。今年度は、時系列分析に探索的分析を加え、尿失禁予防のための介入モデルの検討を行う。これらの成果を学会発表、論文投稿を行う。
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Research Products
(6 results)