2022 Fiscal Year Research-status Report
妊娠から産後1年までの排尿機能の変化と尿失禁の発症に関する前向き観察研究
Project/Area Number |
19K11060
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
佐藤 珠美 佐賀大学, 医学部, 教授 (50274600)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 満 佐賀大学, 医学部, 教授 (00325648)
中野 理佳 佐賀大学, 医学部, 准教授 (80588707)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 妊娠 / 産後 / 排尿機能 / 尿失禁 / 前向き観察研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
目的は介入を伴わない前向き観察研究により、妊娠分娩による排尿機能の変化および尿失禁等の排尿障害の状況を明らかにする。産後3か月、6か月、1年の尿失禁のリスク因子を探索する。2022年度は産後12か月を中心に分析した。 1.産後12か月の尿失禁等の排尿障害の状況:登録者262名中221名を産後12か月まで追跡した。対象者の平均年齢は31.1歳。産後12か月の尿失禁率は31.1%で、産後3か月24.7%、6か月30.0%より増加した。ICIQ-SFを使用して分類した尿失禁のタイプは、腹圧性が21.1%と最も多く、次いで混合性が4.1%、切迫性が2.7%、その他が2.3%であった。ICIQ-SFスコアは、腹圧性が5.75点、混合性が6.22点、切迫性が4.67点、その他が4.2点であった。尿失禁有の人のUDI-6のスコアは、20.0点で、産後3か月(11.9点)と6か月(12.6点)に比べ高くなっていた。 2.産後12か月の尿失禁のリスク因子:産後12か月の尿失禁の有無を従属変数として、単変量及び多変量ロジスティック回帰分析を行った。単変量では、35歳以上(p<0.5)、病院受診をためらう(p<0.01)、会陰裂傷2度(p<0.01)、妊娠中期ICIQ-SF値(p<0.001)、妊娠中期UDI-6値(p<0.01)の5つの変数が有意であった。その後の多変量解析では、単回帰分析でp値が0.2以下の変数をすべて投入した結果、病院受診をためらう(p<0.05)と会陰裂傷(p<0.01)の2項目の関連が示され、AUCは0.74で予測効果が得られた。 妊娠期から産後12か月までに尿失禁について医療者に相談した人は2.9%と少なく、相談しない理由は、必要ないが54.2%、相談機会がないが27.1%、忙しいが7.5%であった。妊娠期や産褥期の尿失禁は相談の必要性が認識されておらず、相談の必要を感じたとしても相談機会がない場合が多く、医療者のより積極的に妊娠期や産後に尿失禁のスクリーニングを行う必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症によって教育業務や業務の変化に伴い研究時間の確保に多大な影響を受け、データの分析、論文の執筆、投稿などを進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
妊娠期、産後3か月、産後6か月、産後12か月に分けてデータの再分析を行い、論文の作成投稿を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染拡大に伴い、研究活動や論文投稿、協力者・関係機関への報告書送付などが遅れ、次年度に対応することにした。
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Research Products
(2 results)