2023 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠から産後1年までの排尿機能の変化と尿失禁の発症に関する前向き観察研究
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19K11060
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
佐藤 珠美 佐賀大学, 医学部, 客員研究員 (50274600)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 満 佐賀大学, 医学部, 教授 (00325648)
中野 理佳 佐賀大学, 医学部, 准教授 (80588707)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 妊娠 / 産後 / 下部尿路症状 / 尿失禁 / 前向き観察研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
非妊時尿失禁既往の有無により以下のように再分析した。 1)非妊時尿失禁既往があった対象:非妊時尿失禁既往有りは、妊娠第1期回答者258名中36名(14.0%)であった。この内26名を産後12ヶ月迄追跡した。妊娠期24名92.3%、産後16名61.5%が其々1回以上の尿失禁があった。産後12ヶ月は14名53.8%に尿失禁(切迫性7.1%、腹圧性57.1%、混合性21.4%、その他14.3%)があり、6名は産後3ヶ月又は6ヶ月に尿失禁が無かった。 2)非妊時尿禁制が保たれていた対象:①妊婦187名のUDI-6について検討した。UDI-6の中央値(25%、75%)は、第1期が8.3(0.0、12.5)、第2期が12.5(8.3、29.2)、第3期が25.0(12.5、37.5)と妊娠経過に伴い上昇した(P<0.001、P=0.001)。特に妊娠後期は頻尿で81.3%、咳やくしゃみによる尿もれで54.5%が困っていた。次に下腹部や外陰部の痛み、不快感で21.9%、少量の尿もれで20.9%、尿意切迫感で13.4%と尿がうまくでないことで12.8%の妊婦が困っていることが明らかになった。②経腟分娩後、産後3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月に追跡した78名について検討した。各時期の尿失禁の有無とBMI、分娩方法・時間、児出生時体重、会陰切開・裂傷、産後4日残尿量の関連はなかった。③妊娠期の尿失禁出現状況と産後継続する尿失禁の関連について分析した。妊娠第1期に26%尿失禁が出現し、第2期に47.2%、第3期は63%と増加し、産後3ヶ月は20%に減少し、6ヶ月と12ヶ月は26%で停滞した。解析の結果、産後3ヶ月のICIQ-SFスコアが最も特異度が高く(AUC 0.72、感度0.52、特異度0.92)、カットオフ値は1.5/21点だった。ICIQ-SFは産後12ヶ月の尿失禁予測で中程度の精度が得られた。
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