2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K11065
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
東 知宏 福井県立大学, 看護福祉学部, 講師 (90582908)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 手洗い / 手洗い教育 / 年長児 / 認定こども園 |
Outline of Annual Research Achievements |
福井市内の認定こども園4施設において、年長児(5~6歳)に対する手洗い教育の効果を検証するため、手洗い実施時の細菌数の変化と手技の不備に着目し調査を行った。調査は手洗い教育実施前、手洗い教育実施後、手洗い教育実施1か月後の3回実施した。手洗い教育は、インフルエンザの流行前などにこども園で実施されているものを担当する保育教諭が行うこととした。。手洗い実施前後の手指に付着する細菌を採取し、培養した後発生した細菌コロニー数をカウントすることにより、手洗い前後の細菌数の変化を確認した。手洗い実施時の手技の不備は、ハンディカメラを用いて記録し、確認した。 調査への協力が得られた研究協力者数は、4施設24名~16名であった。手洗い教育の内容は4施設それぞれ①紙芝居・手洗い手技の確認、②紙芝居・動画・クイズ・手洗い手技の確認、③手洗い手技の確認、④手洗い手技の確認であった。 調査の結果、すべての施設において手洗い教育実施前は親指、指先、指の間の洗い残しが多く、各手技の実施率は0~30%程度であった。手洗い教育実施後にはこれらの手技の実施率が60~80%まで上昇し、手洗い教育によって各手技の実施率が改善したことが示唆された。しかし手洗い教育実施1か月後には、1施設を除いた3施設において、手洗い教育実施前と同程度まで手洗い手技の実施率が低下しており、手洗い教育の持続効果に課題があることが明らかとなった。 手洗い実施時の細菌数の変化をみると、手洗い教育前は手洗い実施後に採取される細菌数が手洗い実施前よりも増加する傾向があり、手指を濡らすことにより角質下から浮かび上がる細菌を除去できていないことが明らかとなった。一方、手洗い教育後は手洗い実施後の細菌数が減少する傾向がみられたが、手洗い教育1か月後には手洗い手技の不備の増加とともに、手洗い実施後の細菌数の増加がみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度に予定していた本研究の第1段階は、認定こども園における手洗い教育の現状を、手洗い実施時の細菌数の変化と手洗い手技の不備の変化から明らかにすることであった。計画していた調査は順調に実施することができ、また調査の結果についても想定していた内容と概ね一致していたため、概ね順調に進展していると評価できる。 ただし、手洗い教育内容に関しては、4施設で実施された内容のうち、最も効果が高く持続効果もあったのは①紙芝居・手洗い手技の確認であった。②紙芝居・動画・クイズ・手洗い手技の確認を行った施設よりも教育内容が簡素であるにも関わらず、高い教育効果を得ることができたことについて、検討を行う必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度に実施する研究の第2段階として、第1段階で行った調査結果と、手洗い教育に関わる保育教諭の協力から、認定こども園向けの手洗い教育プログラムを検討し、実施、評価を行うことである。手洗い教育の効果の検証は、第1段階で行った手洗い実施時の細菌数の変化と、手洗い手技の変化を用いておこなう。 調査は、第1段階と同時期の11月~2月を予定としているが、新型コロナウイルス感染の動向によって、調査の遂行が困難になる恐れがある。しかし、本研究は手洗い教育という、新型コロナウイルス感染対策に直結するものであり、調査に協力する認定こども園に通う年長児の手洗いの現状や問題点について調査結果を用いて提示することができる。この調査施設への利益の供与と、感染対策を講じることについての説明を以って、調査を遂行する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額28,324円については、細菌の培養に使用する培地の購入費とする予定である。
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