2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of problem situation and support program for childhood cancer patients and mothers with childhood solid tumors
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19K11074
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Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
下山 京子 帝京平成大学, ヒューマンケア学部, 教授 (50586518)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 勝 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30306237)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 小児がん / 小児固形腫瘍 / 小児がん経験者 / 母親 / プロセス / セルフケア / 支援プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の目的は、小児期に小児悪性固形腫瘍で手術を行った小児がん経験者とその母親が退院後に子どものライフステージで生じた問題状況とその対処方法を明らかにすることである。また、小児がん経験者が行っているセルフケアの実態と母親が小児がん経験者へ行っている指導の実態を明らかにすることである。そして、親子より得られた情報を基に小児がん経験者とその母親が望む小児外来での効果的な支援プログラムの開発をすることである。 研究対象者には、白血病の幹細胞移植、小児がん治療後に生じた後遺症で手術を行った小児がん経験者も含めた。インタビュー内容は、両者の思いを比較しやすいよう同様の質問内容で行った。疾患について説明を聞いた時期(親には行った説明)、説明内容、理解度とした。また、各期のライフステージで出現した問題状況と対処方法とした。次に、セルフケアの指導者、将来の健康の取り組み、疾患を乗り越えた自分に対する思い等とした。得られた情報は、修正版グランデッド・セオリーで分析した。 小児がん経験者及び母親は、退院後は自分たちの望む情報を入手することが困難であった。親子で情報を求めて患者会で新たな情報を入手していた。一方、自己の二次がんや晩期合併症に対するセルフケアについては十分な情報がなく、小児がん経験者も母親も患者会での情報を基に健康に留意していた。今回の研究では、小児がん経験者も親も情報不足であるという事が明らかになった。幼児期に発症した小児がん経験者の疾患理解度と学童期以降に発症した小児がん経験者では大きな知識の開きが生じていた。支援プログラムの開発では、疾患説明内容・理解度・説明回数・説明時の年齢など考慮する必要があると考えられる。また、セルフケアに対しても、小児がん経験者として出現する可能性のある二次がん・晩期合併症についても情報が不足しており、退院後の情報の確保手段を考慮する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小児がん経験者9名、小児がん経験者の母親5名のインタビュー調査は終了した。18歳以降の小児がん経験者の追跡調査であることで、調査対象を拡大することが大変困難な状況であった。今後も、対象者の拡大を図りつつ、現状で得た情報で支援プログラムを検討していく。今までの研究対象書より、得られたデータを分析した。現状での問題が浮き彫りになった。小児がん経験者と母親共に、情報が少ない環境の中で、情報を求めるために患者会に入会し、情報を得ている状況であった。小児がん経験者のそれぞれの疾患が違うため、情報を共有できないことも考えられるため、支援プログラムの中で小児がん経験者の疾患に対する知識の確認が必要と考えられる。また、子どもが低年齢で小児がんを発症した場合、疾患に対する説明は母親から行われていた。また、年齢が高くなるほど、医師からのICを良く理解しており、自ら医師に質問する等対処行動ができていた。また、母親の医師からのICは、年月が経つにつれ薄れており、母親も曖昧な状況であった。小児がん経験者に対する説明は親から説明ではなく、ある程度の年齢を目途に医療者から説明が必要と思われる。子どもが、自己の疾患説明を聞く事で、自分の健康に対する意識も高まり、より効果的なセルフケアに繋がると考えられる。また、二次がん、晩期合併症に対する知識も必要であり、発症するリスクが高いのかわからないまま不安定な状況で経過していた。両者のインタビューの分析を行った結果、小児がん経験者ライフステージの中での問題状況が明らかになった。今後は、二次がん・晩期合併症に対する外来での教育と共に、疾患や治療に対する小児がん経験者への教育が必要と考えられる。以上の事を基にし、小児外来で小児がん経験者や母親が望む支援プログラムの検討を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
小児悪性固形腫瘍の治療を行った小児がん経験者の親子の追跡に大変苦慮している。今後も対象者の拡大を図りつつ、現状で得られた課題に対する支援プログラムの検討を進めていく。
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Causes of Carryover |
COVID-19により、学会発表がオンラインとなり、旅費の発生が生じなかった。また、研究分担者との会議もオンラインを使用し行ったことから旅費が大幅に減少した。COVID-19の緊急事態宣言が解除になった場合は、学会参加費用に充てる。また、緊急事態宣言の影響が生じ、学会参加が困難な場合は、国内学会のオンラインでの学会参加の機会を多く持ち、学会参加費にあてる予定である。また、今回の研究で得られた小児がん経験者の結果及び母親の結果は海外の学会誌の投稿を考えており、その費用(翻訳料・掲載料等)に充てる予定である。
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Research Products
(3 results)