2019 Fiscal Year Research-status Report
授乳姿勢の違いが母親の上肢体幹筋活動と乳児の哺乳に与える影響
Project/Area Number |
19K11079
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Research Institution | Kansai University of Welfare Sciences |
Principal Investigator |
武田 要 関西福祉科学大学, 保健医療学部, 教授 (20458409)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井村 真澄 日本赤十字看護大学, 看護学部, 教授 (30407621)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 母乳育児 / 筋電図 / 授乳姿勢 |
Outline of Annual Research Achievements |
先行研究では、産後1か月での母乳育児継続率は51.3%であったと報告され、母乳育児をやめた理由として母乳が不足ぎみであることや痛みを伴う乳房・乳頭トラブル、疲労や筋疲労性疼痛、子供の体重が増えないということが報告されている。これら乳頭トラブルや疲労性疼痛は、適切な授乳姿勢、吸いつき方の支援により多くは改善するとされている。 本研究の目的は、授乳時の母親の筋活動、自覚強度の分析と乳児のラッチ・オン時での口角角度の画像撮影と超音波断層撮影による口腔内動態分析により、より効果的で身体的負担が軽減される授乳姿勢を明らかにすることである。 対象は、母乳相談を導入している各助産施設にて安定的に授乳が行えている生後3~4か月の乳児を持つ20~30代の研究の同意を得られた母子50名とする。除外基準は、母乳相談において、授乳に関する何らかの問題を抱える母子とする。計測課題は各体幹角度3条件(座位体幹前屈10°、座位体幹垂直位、背もたれ座位体幹後屈45°)における授乳動作とし計測項目は授乳時でのⅠ. 修正Borg scaleによる自覚強度、Ⅱ. 母体の筋電図、Ⅲ. 撮影による乳児のラッチ・オン時での口角角度、Ⅳ. 超音波断層撮影による口腔内動態計測とする。 計測手順は母親、乳児の身長・体重、出産回数等の基本調査票を被験者自身が記入し、母親への修正Borg scaleによる自覚強度確認後、各体幹角度条件下での授乳を行い、母体の筋電量、自覚強度と乳児のラッチ・オン時の口角撮影、超音波断層撮影による口腔内動態計測を行う。 本研究では、母親にとって身体負荷が軽減され、かつ、乳児にとってラッチ・オンしやすい授乳体幹角度を筋電計測と乳児の口周辺、口腔内観察から定量評価することで科学的根拠に基づいた授乳姿勢の提案と母子の主体的な授乳選択を可能にすることである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度は、乳児の口腔動態の計測方法について検討した。先行研究をもとに超音波のプローブを検討したが、通常のプローブが乳児の下顎下には入りにくい形状であることと、実際に計測しても画像の分析に熟練度を要すことで超音波計測を断念した。また、授乳時での乳児の口角撮影についても倫理上困難であると判断し、乳児の吸啜を計測する別の方法を検証した。 小児用の筋電センサーを用いて乳児吸啜時での筋活動を計測することを検証した結果、十分に計測、分析が可能と判断することができた。また、ワイヤレスセンサーであるため、授乳室とは別室で計測が可能となった。これらの検証には、約半年を必要としたため遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度から、対象としていた母子50名の計測を開始し、およそ2年で計測と分析を行う予定であった。しかし、コロナウイルス禍による計測実施場所の確保は困難を呈し、2年目においては計測困難になることが予想され、1年延期も視野に入れて実施場所の調整を行っていく。
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Causes of Carryover |
筋電計一式を購入する上で、初年度配当分では不十分であったため、前倒しで配当金額を使用した。
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