2019 Fiscal Year Research-status Report
母親の養育態度と養育環境の子どもの成長発達への影響及び虐待予防プログラムの実装
Project/Area Number |
19K11084
|
Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
水田 明子 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (50515830)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾島 俊之 浜松医科大学, 医学部, 教授 (50275674)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 首尾一貫感覚 / 歯科保健 / 中学生 / 保護者 |
Outline of Annual Research Achievements |
中学1~3年生の生徒1730人とその保護者を対象として、2016年に行った調査データを使用し、中学生の未処置齲歯に関連する保護者の首尾一貫感覚と家庭の経済状況を明らかにした。12段階で尋ねた年間所得から等価所得(単位1000万円)を算出した。永久歯の未処置齲歯D(decayed tooth)は、本人の同意を得て定期健康診断の結果を得た。Dは0本と1本以上で2値化した。保護者の首尾一貫感覚は東大健康社会学版SOC(Sense of coherence)3項目尺度を用いて評価した。Dを目的変数、等価所得と保護者のSOCを説明変数として、保護者の婚姻状態、父親と母親の学歴と年齢、中学生の性別、学年とSOCを調整したロジスティック回帰分析を行った。加えて、貧困ライン122万円と150万円で層化した分析を行った。保護者のSOCと子どもの未治療齲蝕との関連が明らかになった。さらに、貧困ラインで層化した分析で、低い経済状況の家庭の子どもにのみこの関連がみられた。保護者のSOCは子どもの未治療齲蝕の心理社会的決定要因であることが示唆された。この結果を国際誌に論文として発表した。 2017年に中学生を対象に追跡調査を行い、Birleson Depression Self-Rating Scale for Children(DSRSC)を使用して、抑うつを評価した。教師からのサポートについて、感情的サポート、情報的サポートで構成されるスケールを用いて評価した。2時点のデータからDSRSCの変化と、サポートのクラス平均値の変化を算出した。DSRSCの変化を従属変数、サポートのクラス平均値の変化を独立変数として、教師の性別と年齢を調整したロジスティック回帰分析を行った。担任のサポートが高くなると中学生の抑うつは低くなる有意な関連を明らかにした。この結果を国際学会で発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度は、中学生のデータを使用し、保護者の養育態度に関連する指標として首尾一貫感覚と、子どもの成長の指標としてDMFTに着目した分析を行い、国内学会と国際誌で発表することができた。次に、小学生に焦点を当て、保護者の養育態度の指標と子どもの成長の指標について文献検討を行い、調査票を教育関係者の意見を参考にして作成した。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和2年度に倫理申請を受け、小学生の保護者を対象に調査を実施する。得られたデータを用いて、保護者の養育態度と子どもの生活リズムとの関連、養育態度や主観的虐待感に関連する社会経済的要因について分析を行う。学会での発表と論文化を進める。
|
Causes of Carryover |
次年度の調査に向け、少しでも支出を抑えたかったため。
|