2020 Fiscal Year Research-status Report
母親の養育態度と養育環境の子どもの成長発達への影響及び虐待予防プログラムの実装
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19K11084
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
水田 明子 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (50515830)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾島 俊之 浜松医科大学, 医学部, 教授 (50275674)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 虐待 / 養育態度 / 保護者 / 子ども / 発達 / 健康 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度から平成29年度に行った調査のデータを用いて、保護者の経済状況と中学生の未治療う歯の関連において、保護者の養育態度に関する設問項目である首尾一貫感覚(Sense of Coherence:SOC)の交互作用があることを明らかにした。経済状況は子どもに対する虐待要因になりうるが、保護者の健康に向かう力(サルトジェネシス:健康生成論)に働きかけることが有効である可能性が示された。この研究結果は国際誌に掲載された。現在、日本において国籍が社会格差の要因となりうるかを明らかにするため、国籍別(日本と外国)に分析を進めている。 研究結果、虐待に関する文献収集、小学校、中学校教員へ虐待の実態について聞き取りを行い、保護者の養育態度に関する調査票を作成した。主な調査内容は、保護者の主観的な養育態度とし、尺度を用いてConvid-19緊急事態宣言発令前と後で評価し変化を把握した。子どもの発達については、外出制限により自宅で過ごす時間が多くなったことから、インターネットの使用、運動と睡眠の状況を質問項目に加えた。 「小学生の保護者の養育態度に関する調査」として、全国の小学1年生、3年生、6年生の保護者2000人(父親1000人、母親1000人)を対象にウエブで調査を実施した。調査実施時期は2021年3月とし、1回目の緊急事態宣言(埼玉・千葉・東京、神奈川・大阪・兵庫・福岡の7都府県は2020年4月7日~、その他道府県は2020年4月16日~)が発令する前と後で、保護者の養育態度の違いを尺度を用いて評価した。全ての調査項目について、児童の年代別、地域別、保護者の性別にクロス集計を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
子どもの発達に影響する保護者の養育態度について調査を進め、コロナ禍にあり緊急事態宣言の発令が保護者の養育態度にどのような影響を与えたかという喫緊の課題にも取り組んだ。 中学校の教員への聞き取りから、保護者への介入は子どもの発達への影響を考えるとできるだけ早期に行う必要があることがわかり、調査対象を小学生とした。子どもの発達に影響を及ぼすと考えられる、保護者の養育態度への介入を考慮した調査とすることができた。子どもの発達に影響を与える保護者の養育態度、保護者の養育態度に影響を与える経済状況や社会情勢など、問題発生の機序を明らかにする調査となったことで、多くの介入の切り口が得られることが期待できる。 また、保護者への調査は男女の割合を均等にし、学年を1年生、3年生、6年生と発達課題が異なる学年とし、全国で行ったことから保護者の属性、子どもの成長過程、Covid-19緊急事態宣言による地域別の影響など、性、児童の年齢、地域別の傾向を明らかにすることが可能となる。
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Strategy for Future Research Activity |
全ての調査項目について行った児童の年代別、地域別、保護者の性別にクロス集計の結果から、特に保護者の養育態度と子どものインターネットや睡眠等について属性別の傾向を把握する。そのうえで保護者の養育態度と子どものインターネットの使用や睡眠などとの関連を交絡因子を調整して明らかにする。保護者の養育態度と子どもの発達との関連において経済状況や職業、支援に交互作用があるかを明らかにするための分析を進める。さらに、Covid-19緊急事態宣言の発令によって保護者の養育態度と子どものインターネットの使用状況に生じた変化についても検討する。 Covid-19のパンデミックの前後で保護者の養育態度と子どもの発達に生じた変化と、その変化に社会経済状況が与えた影響、保護者の養育態度が子どもの発達にどのような影響を及ぼしているかを解明することで、小学生を持つ保護者に対する必要な支援を考察することができる。研究結果を学会で発表し、国際誌への掲載を目指す。
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Causes of Carryover |
研究の成果発表と情報収集のため、国際疫学会へ演題登録し参加を予定していたが、学会が延期となったため旅費を使用しなかった。特定した地域での無記名自記式調査を予定していたため、印刷代、調査票の郵送代等を計上していたが、調査対象と調査方法を見直して、全国の対象者にweb調査を行ったため、調査にかかる費用が予定よりも少額となった。差額は参考図書の購入、学会発表や英語校正費、論文掲載料等に使用する。
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Research Products
(1 results)