2020 Fiscal Year Research-status Report
分娩時の助産師の危険認知と行動が自己観測できる仮想環境型教材の開発と評価
Project/Area Number |
19K11089
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
岩谷 久美子 滋賀県立大学, 人間看護学部, 教授 (10435331)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 宣慶 滋賀県立大学, 工学部, 准教授 (00433699)
藤平 麻理子 滋賀県立大学, 人間看護学部, 講師 (70847912)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 危険認知 / 仮想環境型教材 / 分娩 / 助産師 / 自己観測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,分娩期に起こりやすいリスク場面を仮想環境として提供し,リアルにその状態を体験でき,さらにこの教材(VR教材)を用いたリスクの察知とモーションキャプチャシステム(動きを瞬時に数値化する)を用いた行動を評価することである。 本年度は,仮想環境教材のためのコンテンツ検討と教材作成・評価方法の確立,倫理審査を受け,プレテストを実施した。 前年度の静止画による分析を踏まえ,VR教材の作成において, 特に顕在化した事例であるか,人物配置の位置関係,画面全体から見えるリスクの配置,リスク因子の妥当性,映像化した際のわかりやすさ,映像のリアル性等を検討し作成することにした。その過程においてCG作成のクオリティを高めるには高額な費用が必要であり,予算的に現段階では困難であることが判明したため,VR業者と研究者で作成できる範囲について十分検討を重ねた。その結果,2場面の分娩室を再現し,視線検出機能付きHMDHTC Vive pro eyeを用いてシステムを構築した。具体的には,視線の逐次計測と視線の注視によって必要な行動が選択できるような掲示システムを作成し,モーションキャプチャシステムで行動を評価するという教材とすることに決定した。VR実験終了後,危険箇所をどのように行動すべきだったのかインタビューし,その後実験内容や方法・関心度については質問紙を用いた評価とする実験方法とした。またVR装着による直接的な生体への影響として, VR酔いがあげられ,映像を視聴する前に現在の身体症状の調査や口答でも症状の有無や実験中に症状が出現した場合の中止について説明するなど倫理的な配慮を実験方法に加え,さらに実験後の質問紙調査でも生体への影響がないのかを問う内容を追加し倫理審査を受け承認された。現在,プレテストを終了し,説明方法の改善や学外でのデータ収集方法などを検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は,仮想環境型教材のコンテンツを確定し,VR教材の作成と評価方法の確立,および倫理審査を受けた。しかしCOVID-19の感染拡大により,遠隔授業などの教育の充実に大幅な時間を要した。またCOVID-19の感染拡大が研究活動の対面調整や移動の妨げになり, 実験環境として大学への出入りやデータ収集のための訪問が制限となり,学会参加などもほとんどが遠隔となり,情報収集が制限された。 また研究者の職場環境として人員の不足や自身の業務多忙により予想以上の時間を要し,研究活動にエフォートが予定通りいかなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
実験方法は確立しており,速やかに実験を実施する。実験対象者の選定にはCOVID-19感染の影響により時期的に難しい状況であるが,知り合いから紹介を受け実施する予定である。研究の遅れを取り戻すには,研究分担者と細目に連絡を取り合い,必要時早めに調整会議を開催し,研究の進捗状況について確認する。
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Causes of Carryover |
研究にかかるエフォートおよびCOVID-19感染により実験環境が確保できなかったことにより,予定額を執行することができなかった。 2021年度は早々に実験を再開し,データ収集に関する経費,特に学外で実験をするためのVRが可能なPC等の購入や助産領域の研究動向の把握として,学会への参加を行うため国内・国外の学会に関する費用を計上している。また研究成果の発表・投稿のための予算の執行を予定している。
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