Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,分娩期に起こりやすいリスク場面を仮想環境として提供し,リアルにその状態を体験でき,さらにこの教材(VR教材)を用いたリスクの察知と行動・思考を評価し活用性を検討することである. 初年度は, 仮想環境教材のためのコンテンツ検討と教材作成・評価方法の検討であった.シナリオ作成を行い,事例の妥当性,人物配置の適切性,画面全体のリスク配置,視線検出の具合など考慮して仮想物の画面を検討した. 令和2年度は, 仮想環境教材のためのコンテンツ検討と教材作成・評価方法を検討し,プレテストを実施した.場面は,分娩時の胎児心音低下の場面と産後早期の出血が多い2場面の分娩室を再現し,視線検出機能付きVive pro eyeを用いてシステムを構築した.またVR装着による直接的な生体への影響として, VR酔いがあげられ,映像を視聴する前に現在の身体症状の有無を調査し,口答でも症状の有無を確認し,実験中に症状が出現した場合の中止について説明するなど倫理的な配慮を実験方法に加え倫理審査を受けた. 令和3年度は,実験を中心に実施した.作成した実験システムは,体験機能,評価機能,追体験・行動再生機能を備えている.実験については体験機能,評価機能を実施した.これはCOVID-19の感染拡大により,対面調整や移動の妨げ,実験場所の出入りの制限などでデータ収集にはある程度時間的な制限をかけざるを得なかったことからである.COVID-19の感染状況を見据えながら,助産師および助産師学生からデータが得られた. 令和4年度は, 収集したデータを分析した.VR教材はVR教材のイメージしやすさ,没入感,奥行感,情報量,教育に役立つかを調査し概ね高評価が得られた.作成したVR教材は,助産師学生教育にも臨床助産師教育にも活用できる可能性が示唆された.
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