2019 Fiscal Year Research-status Report
新規育児不安尺度の開発ー出産施設退院時の母親の育児不安に着目してー
Project/Area Number |
19K11107
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Research Institution | Nishikyushu University |
Principal Investigator |
森本 眞寿代 西九州大学, 看護学部, 講師 (70826578)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永松 美雪 日本赤十字九州国際看護大学, 看護学部, 教授 (30550769)
川口 淳 佐賀大学, 医学部, 教授 (60389319)
高守 史子 佐賀大学, 医学部, 特任助教 (20833528)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 退院後早期 / 母親 / 育児不安 / 育児ストレス / 測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
調査研究では、出産施設退院後早期の母親の持つ育児不安の内容を把握することを目的とした。2019年7月~8月,A県内の1施設の産婦人科診療所で産後2週間健診に来院した母親11名を対象に調査を行った。出産施設退院後早期の育児不安を半構成面接法にて収集し質的帰納的に分析を行った。退院後早期の育児不安を構成する10カテゴリーが見出された。母親は育児に対する気負いから【育児負担感】を感じ,また慣れない育児によって【疲労感】をつのらせていた。【育児の知識・技術・経験不足】【児の特性】【母親の特性】も要因となり退院後早期は育児に対し【自信のなさ】を自覚していた。【答えが直ぐに得られないと気持ちが落ちつかない】という一面も持ち合わせ,これは最近の母親の特徴であった。母親を取り巻くソーシャルサポートである【育児支援者不足】,【子育てしやすい環境不足】も要因となり母親は心理的に不安定な状態へと変化し,【気分の変調】をきたしているという結果を得た。 文献検討では、日本における既存の育児不安・育児ストレス尺度開発の文献を統合し、尺度の特徴及び項目内容から構成概念を明らかにすることを目的とした。医中誌web(ver.5)とJDreamⅢをデータベースに,期間は1973年~2018年とし,キーワード「育児不安」or「育児ストレス」&「測定」&「尺度」とし文献レビューを行った。見いだした20件の尺度の質問項目を統合し質的帰納的に分析を行った。既存の育児不安・育児ストレス尺度を構成する概念は、【母親の心身の状態】【母子関係】【児の特性】【育児環境】【育児に向けてのレディネス】【親役割満足】であるという結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度の研究は予定通りのスタートを切った。調査研究では分析の段階で時間を要したが、これは慎重に内容を吟味していたことが理由である。納得のいく結果を導けているため、順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は新規育児不安尺度開発を行う予定である。6月、研究者・研究協力者で昨年度実施した調査研究および既存の文献から育児不安の質問項目を抽出する。また母親の背景を問う項目も抽出する。さらに、他の心理測定尺度や心理的項目も加え質問紙の構成内容の検討を行う。7月には母親4~5名を対象にプレテストを行う。8月(倫理審査委員会承認後)より新規育児不安尺度開発研究を開始する。フィールドは2019年度に質的研究で協力を得た同じ施設であり,研究協力者という形でも関わっていただいており、本研究に多大な理解と協力が得られている。目標回収数は300部とし質問紙は450~500部配布予定である。研究期間は上記から2021年3月31日を予定している。分析方法は因子分析を実施し、新規尺度の構成概念妥当性を検証する。さらに他の尺度との相関係数の算出により基準関連妥当性を検証する。信頼性の検証では折半法にて両群の差の検証やI-T相関分析で相関係数を導く。さらにクロンバックα係数も導く予定である。研究全ての過程において研究分担者、研究協力者と検討を重ね共通認識のもと研究を進めるこことする。 なお,尺度の質問項目の選定にあたり,4月~6月の予定で追加の文献レビューを行う。目的は新規育児不安尺度項目の精度を上げるためである。育児不安の概念分析を行い構成概念を明らかにし,尺度の項目内容妥当性を吟味する。
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Causes of Carryover |
今年度ICM2020第32回国際助産師連盟会議は、新型コロナウイルス感染拡大を懸念して延期となった。開催時期は2021年5月30日~6月3日の予定となっている。この国際学会への参加で繰り越し費用を使用することとする。
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