2019 Fiscal Year Research-status Report
“隠れた”特定妊婦・要支援家庭へのシームレスな支援システムの構築
Project/Area Number |
19K11113
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Research Institution | Kyoto Tachibana University |
Principal Investigator |
石井 美由紀 京都橘大学, 看護学部, 准教授 (40437447)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 彩 神戸大学, 保健学研究科, 助教 (90552430)
黒瀧 安紀子 京都橘大学, 看護学部, 専任講師 (70593630)
下田 優子 京都橘大学, 看護学部, 助教F (20845979)
高田 哲 神戸大学, 保健学研究科, 名誉教授 (10216658)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 児童虐待予防 / 特定妊婦 / 要支援家庭 / シームレスな支援システム |
Outline of Annual Research Achievements |
児童虐待は、保護者、子ども、養育環境等の身体的・精神的・社会的・経済的リスク要因が絡み合って生じる複雑な事象とされる。近年では、虐待ハイリスクとされる「特定妊婦」や「要支援家庭」の早期把握が可能な機会として、医療機関での妊産婦健康診査や保健機関での母子保健事業等の重要性がますます高まっている。しかし、我々の先の研究において、現状では把握し切れていない虐待ハイリスクとしての“隠れた”特定妊婦・要支援家庭の課題が明らかとなった。この課題解決のため、本研究では、共有ツールの活用及び保健・医療の連携に基づく“隠れた”特定妊婦・要支援家庭の把握と妊娠期から育児期にわたるシームレスな支援システムの構築を目指す。 2019年度は研究全体の第1段階と位置づけ、日本の保健機関や医療機関で特定妊婦と同定される要因について文献検討を行った。医中誌webを用い、「児童」「虐待」「予防」「特定妊婦」をキーワードとして、その組み合わせからヒットする文献にアクセスした。計136本の文献が収集され、マトリックス法により整理した。分析にあたり、大阪府の児童虐待早期発見対応シートのアセスメント項目を概念枠組みとしてを用いた。分析の結果、特定妊婦と同定される要因として、1)身体的・精神的状態、2)妊娠と出産、3)社会的・経済的状況、4)子育ての環境、5)育児への姿勢・態度の5つが抽出された。特定妊婦と同定されたケースの多くに先述の要因の重複が認められ、保健師や助産師等による妊娠期から出産・育児期にわたる長期的かつ継続的な支援が行われていることが明らかとなった。この結果から、特定妊婦が多重要因を抱えているがゆえの脆弱性を有しており、妊娠期から育児期にわたるシームレスな支援システムの必要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
文献検討と学会発表について当初計画通りに遂行できた。 当初計画では、文献検討の結果を踏まえ、保健機関と医療機関での保健医療職に対するインタビュー調査や海外視察の知見を統合し、特定妊婦・要支援家庭のリスクアセスメント項目のプールと精選を予定していた。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響により、国内外の移動制限に加えて、インタビューの調整が難航しており、ペンディング状態となっている。 以上の理由から、区分(4)を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえながら、出来る限りの調整を図り、当初予定されていた対面でのインタビュー調査は、zoom等を用いたオンライン・インタビュー調査に切り替えるなどして、研究を遂行する計画である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により、当初計画していた保健機関や医療機関の保健医療職を対象とインタビュー調査や海外視察、国際学会での研究成果の発表が実施できなかった。そのため、これらに係る旅費やインタビュー協力者への謝金ならびにインタビュー・データの逐語化等を担う研究補助者の人件費が執行されなかったため、次年度使用額として持ち越すこととなった。
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