2020 Fiscal Year Research-status Report
中規模病院の外来看護師における在宅療養支援の看護実践能力自己評価尺度の開発
Project/Area Number |
19K11127
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Research Institution | Seisen University |
Principal Investigator |
川嶋 元子 聖泉大学, 看護学部, 講師 (20633598)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 恵 聖泉大学, 看護学部, 助教 (10614589) [Withdrawn]
小野 ミツ 日本赤十字九州国際看護大学, 看護学部, 教授 (60315182)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 在宅療養支援 / 外来看護 / 高齢者 / 看護実践能力 / 中規模病院 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は第2研究を行った.第2研究の目的は,令和元年に明らかになった中規模病院の外来看護師における高齢者に対する在宅療養支援の看護実践能力の因子構造の妥当性と信頼性を明らかにし尺度を作成することである.研究の対象は,令和2年一般社団法人日本病院会に掲載されている近畿圏内(京都・大阪・滋賀・兵庫・奈良・和歌山・三重・福井)の在宅療養支援病院188施設のうち,一般病床と療養病床を持つ100施設の外来看護師500人とした.研究の方法は,独自に作成した無記名自記式の質問紙を用いた.質問内容は,①施設の概要(3項目)②基本属性(11項目)③在宅療養支援に必要な看護実践内容(60項目)とした.施設の概要は,病院の病床数,平均在院日数,1日の外来患者数を尋ねた.基本属性は,性別,年齢,看護師経験年数,外来での看護師経験年数,現在の勤務形態,在宅看護論の学習経験の有無,在宅・地域ケアに関する資格の有無,在宅・地域ケアに関する経験の有無,担当している診療科,1日に行う在宅療養支援の人数を尋ねた.外来看護師に対する高齢者に対する在宅療養支援の看護実践内容の60項目について,実施度を5段階のリッカート法を用い(1.全くできていない~5.十分できている)で回答を得た.分析方法は,対象者の所属する施設の概要と基本属性について,記述統計を行った.在宅療養支援の実践内容のリッカート法(5段階)の回答は,各項目の平均点,標準偏差,項目間の相関の算出を行い,その後因子抽出のための検証的因子分析(最尤法,Promax回転)を行った.信頼性については,Cronbachα係数を算出することにより内的整合性を検討した.構成概念の妥当性は,共分散構造分析による確認的因子分析により確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第2研究の調査結果は,近畿県内の99施設の外来で勤務する看護師495人のうち,234人から回答を得られ,回収率は47.2%(有効回答率84.1%)であった. 回答者の施設の属性は,病床数の平均(±標準偏差)は,155.3(±32.6)床,平均在院日数は,26.3(±21.9)日,1日の外来患者数229.4(±141.9)人であった. 回答者の性別は,女性192人で97.5% であった.年齢の平均(±標準偏差)は,47.2(±8.3)歳で,看護師経験年数は,平均22.7(±9.53)年,外来看護師の経験年数は,平均9.3(±7.55)年であった.1日の在宅療養支援の人数は,平均2.5(±9.3)人であった.最終学歴は専門学校卒業が155人(78.7%)で、勤務形態は,常勤勤務が165人(83.8%).在宅看護論の学習経験の有無は,有りが82人(41.6%)であった.在宅・地域ケアに関する資格は,ケアマネジャーの資格のある者が18人(9.1%)であった.在宅・地域ケアの資格に基づく経験は,訪問看護師が24人(12.2%)であった.担当療科で最も多かったのが,内科146人(74.1%),次いで整形外科101人(51.3%),外科97人(49.2%)であった.質問紙の60項目を探索的因子分析を行った結果、4因子となり、第Ⅰ因子名を「地域・医療・福祉サービス提供者と連携し在宅生活の支援方法を検討する」(13項目),第Ⅱ因子名を「今後起こりうる病状や生活の変化を予測する」(15項目),第Ⅲ因子を「在宅療養支援に主体的にかかわる」(9項目),第Ⅳ因子を「在宅療養支援に活用できる社会制度の説明を行う」(4項目)と命名した.Cronbachのα係数は,第1因子のα=0.95,第2因子のα=0.95,第3因子のα=0.88第4因子のα=0.92となり,高い信頼性を示した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,作成した尺度の確認的因子分析を行い,適合度指数から構成概念妥当性を検証する.また,共分散構造分析を行う予定である。 尺度の基準関連妥当性の検討も必要であり,より洗練された尺度開発へ向けて段階的に検討を進めていく.また,外来看護師が在宅療養支援を行うために必要な能力を明らかになったため,その結果を院内研修等のプログラムの開発につなげていけるように研究を進める.
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Causes of Carryover |
令和3年度は,在宅療養支援の看護実践能力を図る尺度を使用し外来看護師へのインタビュー調査を計画していたが,基準関連妥当性を検証するためには,再度,外来看護師に対する質問紙調査が必要となる.そのため,調査にかかる費用が必要となる.
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Research Products
(1 results)