2019 Fiscal Year Research-status Report
社会的孤立の状態にある高齢者の理解と孤立した生き方を尊重した支援の検討
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19K11130
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
海原 律子 関西医科大学, 看護学部, 助教 (50757440)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 昌江 関西医科大学, 看護学部, 教授 (70264827)
倉石 哲也 武庫川女子大学, 文学部, 教授 (20234528)
森田 理江 関西医科大学, 看護学部, 助教 (70828095)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 高齢者 / 社会的孤立 / 孤独 / 対象者理解 / 自律性の尊重 |
Outline of Annual Research Achievements |
「社会的孤立」に関しての定義は研究者間で統一されておらず、標準化された測定方法がない。そこで先行研究で示されてきた社会的孤立の操作的定義を要約し、発現率の外観を行ったところ、諸外国では概ね3%であることに対し、我が国では25%程度と高い値を示していた。社会的孤立については、これまでに社会学、心理学、公衆衛生学等の分野で研究の対象とされてきているが、研究者によってその定義が異なり、よってその状態像も異なっていた。これらのことから、概念構造を知る観点から文献レビューを行った。高齢者の社会的孤立との関連項目についてマトリクスを作成し状態像の整理を行った。 文献レビューの整理から、孤立とは家族やコミュニティとほとんど接触がない客観的状態であり、主観的な孤独とは区別されていること、および、孤立とは他者と何らかの群を形成せずに、単独の状態にあって他者とのつながりや助けのない状態にあることの示唆を得た。 また、先行研究の成果では、孤立の予防や解消に向けた支援策を検討したものが多くを占め、高齢者の社会的孤立の実態に迫った研究はほとんどなかった。彼らと社会との接触面(interface)を捉え、実証的かつ高齢者看護学および地域看護学の側面から検討し、彼らへの「支持的なアプローチ」をその方略として探究していくことが重要である。そのためには、高齢者の背景やこれまでの経験について意味づけをし、社会的孤立が高齢期の生き方の一つとして位置づくことの可能性を模索する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「社会的孤立」に関連する文献を精読するにあたり、「社会的」と「孤立」を区別して概念構築していくことの必要性が明らかとなり、文献検討の範囲を広げている。 また、本研究の遂行にあたり、高齢者の生活実態に迫り、その生の語りを聴取ことを計画しているが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、研究協力者と対峙した語りの聴取という設定が困難な状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
研究協力者と対峙した語りの聴取については、遠隔でのやり取りや感染対策を十分に整えた環境での実施を検討している。倫理的配慮および協力者への説明について、改めて構築してているところである。
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Causes of Carryover |
計画していた国際学会への参加が、新型コロナウィルス感染症の拡大により渡航不可となったことが次年度使用額が生じた大きな理由である。翌年度については、学会報告(参加)および、本研究に関連した先駆的研究者からのスーパーバイズを計画している。
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