2019 Fiscal Year Research-status Report
高齢患者の下部尿路症状スクリーニングをふまえた地域包括的排尿自立支援システム構築
Project/Area Number |
19K11137
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
正源寺 美穂 金沢大学, 保健学系, 助教 (80345636)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 排尿自立支援 / 下部尿路症状 / スクリーニング / 急性期病院 / 地域 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】本研究は、高齢患者の下部尿路症状スクリーニング方法を確立し、包括的排尿ケアを連携して継続できるシステム構築を目的とする。特に高齢患者は基礎疾患に関わらず、下部尿路症状を認めることが多い。そこで今年度は、高齢患者に対する入院時残尿スクリーニングを試み、その有効性と残尿保有率の実態について検証した。 【方法】1.研究デザイン:横断観察研究。2.調査期間:2018年11月~2019年5月。3.対象者:調査期間中に入院し、残尿スクリーニングを受けた65歳以上の高齢患者655名。4.調査方法 ①残尿スクリーニング:病棟看護師がリリアムα-200(リリアム大塚)を用いて1-3回残尿測定した。②入院前の下部尿路症状:病棟看護師が主要下部尿路症状スコア(CLSS)を用いて把握した。5.データ収集方法:電子カルテより基本属性、治療やケアを情報収集した。6. 分析方法:記述統計を用いた。7.倫理的配慮:金沢大学医学倫理審査委員会の承認と対象施設の倫理審査を受け実施した。 【結果】1.残尿保有率:残尿あり群は105名(16.0%)であった。残尿あり群は残尿なし群に比べて、平均年齢、75歳以上の割合、泌尿器科疾患の既往歴、入院前の夜間排尿回数が有意に高かった。2.下部尿路症状:残尿あり群は、夜間排尿回数、切迫感、切迫性尿失禁、尿勢低下、残尿感において、残尿なし群に比べて有意な差を認めた。3.治療やケアとの関連:残尿あり群はなし群に比べて、入院中に泌尿器科受診した割合、チーム介入が有意に多かった。 【結論】一般病院において高齢患者の16%に残尿を認め、年齢、既往歴、夜間頻尿がリスクとして推察された。入院時の残尿スクリーニングにより、尿路感染症や下部尿路症状の悪化を回避する必要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた目的を検証できたため、順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
スクリーニングをふまえた包括的排尿ケアの連携・継続による効果検証を行う。
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Causes of Carryover |
(理由)おおむね予定通り執行した。しかし残尿スクリーニングに当初予定していた以上に物品費を要した。また、学会での発表および論文投稿を次年度行うこととなり、未使用額が生じた。(計画)次年度使用額と当該年度以降に請求する助成金と合わせて、学会での発表および論文投稿を次年度行いながら、研究をすすめる。
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Research Products
(4 results)