2021 Fiscal Year Research-status Report
高齢患者の下部尿路症状スクリーニングをふまえた地域包括的排尿自立支援システム構築
Project/Area Number |
19K11137
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
正源寺 美穂 金沢大学, 保健学系, 助教 (80345636)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 排尿自立支援 / 下部尿路症状 / スクリーニング / 急性期病院 / 地域 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】加齢に伴い、排尿困難、残尿といった尿排出症状が急増するが、その裏にある機能障害を積極的にみつけて、必要な検査や治療につなげる取り組みはほとんどされていない。慢性的に残尿が多い状態を予測する変数が分かれば、残尿測定が必要な高齢患者を抽出でき、尿排出障害による尿路感染症や腎機能低下を回避できると考えた。そこで本研究は、高齢患者の尿排出障害の保有率と、尿排出障害に関連する要因を明らかにすることとした。【研究方法】2018年11月~2019年5月にA総合病院の全科に入院した高齢患者614名に横断観察研究を実施した。原則として看護師は、入院後5日間以内でランダムに3回を設定し、携帯超音波装置(Lilliam α-200、リリアム大塚株式会社)を用いて、随意排尿の直後、ベッド上仰臥位の高齢患者に対して残尿測定を行った。3回の残尿測定結果を用いて、1回でも100 mL以上の残尿があった場合を尿排出障害あり、100 mL以上の残尿が2回以上あった場合を慢性的な尿排出障害ありとした。下部尿路症状は、主要下部尿路症状質問票を用いて、入院前2週間の状況を評価した。基本属性は、研究者が電子カルテから取得した。【倫理的配慮】金沢大学医学倫理審査委員会(承認番号870-1)と対象施設の倫理審査(承認番号2018-15)の承認を得て実施した。【結論】本研究では、100mL以上の残尿がある高齢患者は約17%であった。100mL以上の残尿が2回以上続く場合、平均残尿量が200mL以上と、慢性的な尿排出障害が推定され、年齢(75歳以上)、残尿感、脳神経と循環器系疾患が関連していた。尿排出障害の早期発見には、今回明らかとなった関連要因に該当する高齢患者に対し、携帯超音波装置を用いた残尿測定を積極的に実施する有用性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、①高齢患者の下部尿路症状スクリーニング方法を確立し、②包括的排尿ケアを連携して継続できる地域の包括的な排尿自立支援・サービス提供体制(地域包括的排尿自立支援システム)を構築することである。これまで、急性期病院における高齢患者を対象にした下部尿路症状スクリーニング方法の確立、スクリーニングによる効果検証を達成した。小松市コンチネンスケア検討委員会において、これらの研究成果を共有し、排尿自立支援を連携して継続できるシステムについて協議を重ねている。したがって、おおむね順調に進展していると考える。次年度は、補助事業の目的をより精緻に達成するため、論文投稿を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
補助事業の目的をより精緻に達成するため、論文投稿を行う。
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Causes of Carryover |
補助事業の目的をより精緻に達成するため、論文投稿を行う。
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Research Products
(1 results)