2019 Fiscal Year Research-status Report
Studies on mitigating stigma and developing awareness program targeting population at risk for HIV infection in Mongolia
Project/Area Number |
19K11146
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Research Institution | Gifu University Of Health Science |
Principal Investigator |
高久 道子 岐阜保健大学, 看護学部, 講師 (50730090)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 典代 名古屋市立大学, 大学院看護学研究科, 准教授 (50335585)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | HIV感染症 / 性感染症予防 / ヘルスプロモーション / セクシュアルヘルス / インターネット調査 / 国際研究 / HIV-related stigma |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の研究目的は、1年目として、インターネット調査項目の検討及び啓発プログラムの改編・試行とした。 本研究は、アウトリーチが困難でHIV感染症のリスクの高い集団とされる、同性間で性的接触を行う男性(Men who have sex with men: MSM)を研究対象とした。インターネットの調査項目については、モンゴル当事者NGOと協働して対象者の社会文化的背景を配慮しながらMSMの性行動ネットワーク及び性感染症の感染予防行動と意識、モンゴル当事者NGOが実施する感染予防啓発活動の認知及び参加経験、偏見・差別に関する項目等について検討を行い、国内外の先行研究で使われている調査項目と比較が可能な調査質問紙を作成した。首都ウランバートルで感染予防とセクシュアリティの啓発プログラムにおいてインターネット調査を実施した。調査には男性170名の有効回答数を得て、調査項目の有効性を検証した。アナルセックスの経験者は156名(95.7%)で、最後の性的接触のコンドーム使用者は134名(82.2%)、1年以内にHIV検査を受けた者は162名(98.8%)であった。過去1年に受診した医療機関において、男性と性的接触を行うことで医療従事者から中傷を受けた者は18名(10.6%)、1年以内に他者から嫌がらせを受けた者は26名(15.3%)であった。 感染予防啓発プログラム「Living under the same sky (LUSS)」を地方都市で実施するにあたり、候補地の検討を行った。モンゴル北部の主要都市であるエルデネットとダルハンに赴き、現地の保健センターのHIV感染症専門家らとHIV感染症、性的少数者に対する保健医療の理解・対応等、状況の把握を行い、感染予防啓発活動の連携の検討を行った。 本研究は、岐阜保健大学研究倫理委員会より実施の承認を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究1年目は、インターネット調査項目の検討及び啓発プログラムの改編・試行を行うことを目的とした。研究対象者をHIV感染のリスクの高い集団である男性同性間で性的接触を行う者(Men who have sex with men:MSM)として、研究協力団体のモンゴル当事者NGOと協働して対象者の社会文化的背景を考慮、また日本国内外で使用されている調査項目と併せて調査項目を作成した。 首都ウランバートルで開催したゲイ・バイセクシュアル男性及びトランスジェンダーを対象とした啓発イベントにおいて、インターネット調査を実施して、調査項目の有効性を確認した。170名の有効回答数においてMSMは163名(95.9%)であった。アナルセックスをしたことがあると回答した者156名のなかで、最後の性的接触でコンドームを使用した者は134名(82.2%)であった。HIV検査の生涯受検経験者は164名(96.5%)であり、1年以内に受けた者は162名(98.8%)であった。過去1年に受診した医療機関において、男性と性的接触を行うことで医療従事者から中傷を受けた経験者は18名(10.6%)おり、また1年以内に他者から嫌がらせを受けた者は26名(15.3%)いた。 これまで主に首都で展開してきた「We are living under the same sky (LUSS)」を地方で実施するために、候補地の選定を検討した。候補地2か所(エルデネットとダルハン)においてHIV感染症対策専門家らとHIV感染症、性的少数者に対する保健医療の理解・対応等、状況確認を行い、感染予防活動の協働・連携の検討を行った。現地の当事者キーパーソンについては更なる発掘が課題となり、また啓発プログラムLUSSを地方に合わせた改編と試行・展開については当年度に実施することができなかったため、2020年度に行うこととなった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、2年目として、地方版「LUSS」の改編・試行を行い、候補とした地域において展開することを目的とする。また初年度に作成した調査項目の確認を行った後、インターネット調査を実施する。そして調査データの収集と分析を行うことを目的とする。 今年はCOVID-19によってモンゴル-日本間の渡航ができない状況である。 しかしながら現時点においては、モンゴル国の感染状況はコントロールできている状況とされ、地方への移動が可能であると研究協力団体より報告を受けている。このことから、研究協力団体の協力によって、地方版「LUSS」の改編、試行、そして展開を行う計画を立てている。 また初年度に作成した調査項目の最終確認を行い、研究協力団体の協力のもと、地方のキーパーソンや研究協力団体のアウトリーチワーカーによるソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)等を活用した機縁法で調査回答協力を依頼し、インターネット調査を実施する予定である。 インターネット調査で得られたデータのクリーニングを行い、統計ソフトSPSSを活用して分析作業を行う。データクリーニングや基礎集計の算出については、研究補助者に適宜協力を依頼することとしている。
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