2019 Fiscal Year Research-status Report
Constructing a sustainable co-creation society for health and longevity
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19K11151
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Research Institution | Shukutoku University |
Principal Investigator |
渡邉 多恵子 淑徳大学, 看護栄養学部, 教授 (30598636)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 介護予防 / 社会とのかかわり / 生活機能 / 認知機能 / 生活満足感 / 生きがい |
Outline of Annual Research Achievements |
介護予防事業に参加している高齢者を対象として取得したデータ(主観的健康感、生活満足感、社会とのかかわり、身体機能、生活機能等)の経年分析を行い、介護予防事業の効果を検討した。市全体の高齢化率は上昇しているが、新規要介護認定率は減少していた。介護予防事業参加者の年齢は年々上昇していた。主観的健康感、生活満足感が得られている割合は若干減少しており、男性にその傾向が顕著であった。社会とのかかわりに着目すると、男性の「社会への関心」「他者とのかかわり」「生活の安心感」の得点が低下していた。身体機能は平衡性の得点が低下していた。生活機能は、物忘れリスク、抑うつリスク、認知機能リスク者の割合が増えていた。高齢化率が上昇しているにもかかわらず、新規要介護認定率が減少していることから、本市の介護予防事業は一定の成果を収めていると解釈できるが、生活満足感を高める支援や認知機能や精神的な健康を維持・向上する支援、とくに男性への働きかけが必要であることが示された。 主体的、持続的な介護予防活動を定着あるいは促進する要因を明らかにすることに向け、質的研究(フォーカスグループインタビュー調査)、量的研究(質問紙調査)の両側面から調査を行った。介護予防リーダー51名を対象としたインタビュー調査からは、人とつながりたい、誰かの役に立ちたいというニーズとともに、楽しさや心地よさ、近隣者への関心を高める働きかけ、専門的視点からのアイディア提供の必要性などが明らかになった。60名を対象とした質問紙調査からは、自発的な助け合いの意識、経験や技術、知識、資格等がなくても活躍できる人材育成、経済的なゆとり、生活・人生に対する楽天的・肯定的感情、高齢者のみ世帯が、安心・安全に暮らしていくことに向けた対策等が明らかになった。今後、それらの要因を育むことに向けた戦略が求められる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は、(1)介護予防事業に参加している高齢者500名程度を対象とし、これまでに取得したデータの経年的な分析から住民主体の介護予防事業の効果を検証すること、(2)介護予防リーダー20名を対象とした質的研究、介護予防リーダー200名を対象とした量的研究の両側面から、主体的、持続的な介護予防活動に関係する要因を推定することを計画していた。 (1)住民主体の介護予防事業の効果検証は546名を対象としたデータの経年分析を実施した。(2)主体的、持続的な介護予防活動に関係する要因の推定は、介護予防リーダー51名から質的なデータ(フォーカスグループインタビュー調査)を、60名から量的なデータ(質問紙調査)を得た。台風15 号と19号の影響を受け、質問紙調査の回収数は計画した数に届かなかったが、分析可能な数が得られている。よって概ね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、(1)介護予防への影響要因、(2)主体的、持続的な介護予防活動に関係する要因の追跡調査を実施する。 (1)介護予防への影響要因の追跡調査は、介護予防事業に参加している高齢者500名、および、介護予防リーダー養成講座に参加している介護予防リーダー100名を対象とすることを計画していたが、Covid-19感染拡大の影響を受け地域の公民館等での調査をこれまでと同様に実施することが困難な状況が予想される。市の専門職と相談しながら半数程度のデータ取得をめざす。調査項目は2019年度までに実施した内容に準ずる。得られたデータの身体的、精神的、社会的健康要因に関する多変量解析から、介護予防への影響要因を構造的に明らかにする。 (2)主体的、持続的な介護予防活動に関係する要因の追跡調査は、介護予防リーダーを対象とし、質的研究20名程度、量的研究100名程度のデータ取得を計画していたが、上記と同様に調査困難が予測される。フォーカスグループインタビュー調査を個別インタービューに変更する、調査対象者数を縮小する等を視野にいれながら、できるだけ予定通りの調査実施をめざす。
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Causes of Carryover |
台風15号、19号の被害を受け、国内外の学会等への出張が困難となり、繰越金が生じた。2020年度もCovid-19の感染拡大等により移動が制限される可能性もあるため、ホームページの作成など、ICTを活用して研究成果発信や意見交換を行う仕組みの構築に使用する。
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