2021 Fiscal Year Research-status Report
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19K11160
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
石本 恭子 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 准教授 (50634945)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 友美 大阪大学, 人間科学研究科, 講師 (00637077)
依田 健志 川崎医科大学, 医学部, 講師 (40457528)
岩崎 正則 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 専門副部長 (80584614)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | フレイル / ADL / 施設入居高齢者 / 精神的フレイル / 社会的フレイル / 身体的フレイル / 心の安寧 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、フレイル発生後から要介護までの身体的、精神的、社会的つながりなどの変化の過程を経年的に追跡する。その過程でフレイルの構成要素を再構し、新たなフレイル概念要素を導き出す。最終目標は、フレイル評価指標に精神的、社会的要素を包含する評価指標の開発である。 本年度は、2022年1月にアンケート調査を実施し215名の回答を得ることができた。簡易版フレイルインデックスによる分類は、フレイルなし21.8%、プレフレイル60.7%、フレイル17.5%であった。昨年とほぼ同程度の割合であった。フレイルインデックスのうち、歩行速度の低下が57.1%と最も回答割合が多く、続いて週1回未満の運動習慣(31.6%)、5分前のことが思い出せない(27.2%)、疲労感あり(22.4%)、体重減少(13.5%)であった。「歩行速度の低下」により身体的機能の低下として自覚している高齢者の割合が多いと推察する。一方で、栄養管理がなされており適正な体重の維持につながっていることが考えられる。 また、心の落ち着かせるために行っていること(心の安寧行動)があるとと回答したものは、ないと回答したものより、基本的ADL、高次機能ADL、主観的な家族関係満足度、友人関係満足度、幸福感が高値を示し(p<0.05)、年齢、フレイルインデックス、主観的健康観、経済満足度には有意な関連は見られなかった。これまでの調査で、対象ホームでの心の安寧行動は、音楽鑑賞、ウォーキングなどの運動、掃除、読経などがあげられている。このような心の安寧行動が、日常生活機能動作の維持や、幸福感、人間関係に関連することが示唆さる。これらの因果関係については、さらなる検討が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症拡大による影響で、対象有料老人ホームでの健診調査、タイ・ナコムパトム地域での現地調査を行うことができなかった。しかしながら、3月末より、現地カウンターパートの協力によって、住民に対する質問紙調査中である。 分担研究者やタイマヒドン大学のカウンターパートであるクワンチット先生と定期的にミーティングを行い、データの解析状況や次年度の計画についての情報交換をしている。 また、これまでのデータの解析し、論文作成中である。
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Strategy for Future Research Activity |
対象の有料老人ホームにおいて、感染対策として家族との面会規制が現在も続いていることを鑑みて、次年度の対面調査についは保留中である。一方、ズームなどを用いたオンラインの聞き取り調査を計画している。質問紙調査の実施については、当該ホームと相談しつつ実施時期を検討していく。また、健診を実施することとなった場合は感染対策を十分に行う。 タイ・ナコムパトムの調査の予定としては、9月に本調査の打ち合わせと準備、2023年2月に本調査を計画している。調査は、新型コロナウィルス感染症の感染拡大状況の動向に注意を払いつつ、計画が実行できるように事前の準備をしておく。また、分担研究者らと定期的なミーティングを継続する。
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Causes of Carryover |
今年度は、新型コロナウィルス感染症の感染状況の持続によって、対象老人ホーム、タイでの調査が行えなかった。また、オンライン開催となった学会もあった。そのため、調査や学会発表のために旅費・人件費を使用することができなかった。これらの資金は次年度に繰り越しすることとなった。 対象の有料老人ホームにおいて、新型コロナ感染症た来年度はZoomを用いた対話型のインタビューを計画している。検診調査においては、実施が難しい状況である。 感染状況に留意し、老人ホームやタイでの調査や情報収集・打ち合わせ、共同研究者らとの会議等に旅費に使用予定である。また、物品費は、調査のために必要なものを購入し、調査の際の測定協力者の謝金として用いる。英文校正にも費用を充てる。
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