2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K11168
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Research Institution | Nishikyushu University |
Principal Investigator |
平原 直子 西九州大学, 看護学部, 講師 (80382399)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 率先避難者 / 防災 / 高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、地球温暖化の影響により豪雨災害は増加傾向にあり、逃げ遅れた被災者の報告が後を絶たない。本研究の目的は、水害時に自らの判断で避難行動をとる率先避難高齢者を育成することである。今年度は、率先避難者育成のための防災教育の教材作成に着手した。まず、既存の防災教材(水害)を収集し目的・方法・対象者等を分析した。避難促進に焦点をあてた防災教育教材は、いくつかの自治体で作成されているが実績や教育効果の報告されたものは殆ど見当たらなかった。そこで水害被災地の防災教育を担当する自治会長・防災アドバイザー等にインタビューを実施し、地域防災に関する現在の取り組みおよび地域の抱える課題が抽出された。地域では避難の呼びかけ体制づくりを試みているが個人情報保護の制約により整備が進んでいないこと、率先避難の意義については十分周知されていないようだった。2018年西日本豪雨以降、自主避難者は増加傾向にある中、新型コロナ感染症の影響により避難所の受け入れ人数が制限されるなど受け入れ側の課題も抽出された。2021年度はさらに対象地域を広げ、水害に関する地域防災の課題の明確化を図り、これらの課題解決に向けた教材の作成に取り組む予定である。また、2020年度行う予定であった水害被災地に在住する高齢者への避難決定要因に関するアンケート調査は、全国的な新型コロナ感染症の拡大に伴い対象者への説明が困難であることにより延期したため、2021年度実施を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
高齢者市民を対象とした自記式質問紙調査を予定していたが、新型コロナ感染症拡大により大学の主催する公開講座や自治会の主催する集会等を活用した調査の協力依頼や防災教育が不可能であったため。2021年度以降に延長することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年に実施できなかった水害被災地に在住する高齢者への避難決定要因に関するアンケート調査を実施する。調査内容は、避難の意思決定に影響した要因、防災に関する知識・意識及びこれらに関連する項目である。 水害被災地の防災教育担当者に対し、地域防災に関する現在の取り組みおよび地域の抱える課題抽出を目的とした半構造化面接をおこなう。 防災に関する地域課題に適した防災教育教材を作成する。防災教育教材作成にあたっては、高齢者心理学者や防災アドバイザーの助言を得る。
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Causes of Carryover |
(理由)2020年度予定していた質問紙調査が延期となったため。データ収集時に必要とする印刷費・通信費および依頼予定であった研究補助員の人件費・旅費・データ分析に係る謝金・会議費を必要としなかったため。 最新の知見を得る目的で各学術集会等に参加したが、新型コロナ感染拡大の影響によりWEB開催となり旅費等の支出が抑えられたため。 (使用計画)質問紙調査の実施に関わる印刷費・通信費および依頼予定であった研究補助員の人件費・旅費・データ分析に係る謝金・会議費として使用を予定している。
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