2020 Fiscal Year Research-status Report
災害看護における倫理的課題の可視化と対応能力向上のための教育プログラムの開発
Project/Area Number |
19K11175
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
尾立 篤子 国際医療福祉大学, 小田原保健医療学部, 教授 (50736973)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 災害看護 / 倫理的課題 |
Outline of Annual Research Achievements |
甚大な被害を伴う災害が発生した現場は、医療資源の不足はもとより、日常とは異なる悪条件の下、公平性や公正さの判断に戸惑う倫理的ジレンマを経験する。被災地で活動する看護師の多くは、災害支援活動の経験が豊富であるとは言い難く、倫理的ジレンマに苛まれながらの災害看護活動を続けることは、被災者ばかりか支援者側にも健康危機をもたらす。 本研究の目的は、災害という特殊な状況下であっても適正な看護を提供すべく、現場で発生している看護上の倫理的課題を明らかにし、その課題に対応できる能力を備えた人材育成のための教育プログラムを開発することである。2019~2020年度は災害看護の現場で遭遇した倫理的ジレンマに関する調査とし、半構造化面接法による質的研究を計画した。2019年度に文献レビューを終えたところで、新型コロナ感染症の影響を受けて対象者へのデータ収集は見合わせた。2020年度は、データ収集の方法を対面だけでなくオンラインを活用した個別面接法も取り入れ、選定基準の①平成23(2011)年の東日本大震災以降、国内の自然災害で救援活動を行った看護師、准看護師、保健師、助産師のうちいずれかであり、②移動日を除き3日以上看護活動に従事していること、③現在健康上の問題がなく、かつ災害活動のインタビューを受け想起体験をしても心身に影響は生じないと自己認識している、を満たす対象者3名に調査を実施した。現在は質的分析の経験のある研究者の協力を得て、分析を進めているところである。 収集したデータは、災害看護活動上経験した医療・看護上の倫理的課題とそのジレンマについて詳細に語られており、要素を丁寧に抽出することで、今後の災害看護に貢献できると期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度から開始した半構造化面接法によるデータ収集は新型コロナ感染症の影響を受けて時期見合わせとなった。その理由には、対象者が災害支援等に従事する看護師であり新型コロナ感染症関連事項に対応中であること、教育者らはオンライン教育への移行など教育方法の変更を余儀なくされていたこと、対象者との面談場所までの遠距離移動が容易でなかったこと等がある。 2020年11月頃よりようやく調査の実施が可能となったが、当初予定していた対面での調査方法に加えて、オンラインでのインタビューも選択肢に提示することで対象者に参加していただくことが可能となった。 現在は第一段階のインタビュー調査と分析を平行して進めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの分析の成果から、オンラインでのインタビュー方法であっても、対象者の同意と準備があれば調査は可能であると判断する。研究の第二段階に進めるための必要十分なデータを得ることを目的として、データ収集の期間を延長して対象者へのインタビュー調査を継続する。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の影響を受けて、データ収集が大幅に遅れている。そのため、必要な機器類、調査に係る旅費、国際学会の旅費等は次年度以降の経費として使用見込みである。
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Research Products
(1 results)