2022 Fiscal Year Research-status Report
災害看護における倫理的課題の可視化と対応能力向上のための教育プログラムの開発
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19K11175
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
尾立 篤子 東邦大学, 健康科学部, 教授 (50736973)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 災害看護 / 倫理的課題 / 避難所における支援 / 災害時の公平性 |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウイルス感染症は拡大と減衰を繰り返しながら、発生から3年が経過した。このような状況の中でも、日本は豪雨や地震等の災害発生を繰り返し経験している。中でも甚大な被害を伴う大規模な災害において、医療支援者は人的資源・医療資源の不足だけではない困難な状況下に置かれる。そして災害という日常とは異なる悪条件下では公平性や公正さの判断に関連した倫理的ジレンマを経験する。このジレンマに対し予測不十分で対応が遅れると、被災者ばかりか医療支援者も健康危機に陥る可能性がある。 本研究の目的は、災害という特殊な状況下であってもその状況に応じた適切な看護を提供すべく、現場で発生している看護上の倫理的課題を明らかにし、その課題に対応できる能力を備えた人材育成のための教育プログラムを開発することである。2019年度に国内外の文献レビューを終え、2020年度から災害支援活動のあるインタビュー調査を開始した。対象者となる看護実践家は新型コロナウイルス感染症患者への対応のため、調査が滞った時期があったが、一部オンラインを含むインタビュー調査を行うことで再開することが可能となった。 2021年度までで5件のインタビューを終え、研究の全体像を概観してインタビュー内容をさらに精選した。2022年度はさらに9名のインタビュー調査を終えて分析を進めているところである。当初の研究計画の予定にある対象者30名の調査に向けて2023年度もインタビューによるデータ収集を進めるための調整を終えた。 また、災害避難所における被災者への支援に関する調査も2021年度から取り組んでいるが、特に地域で住み社会生活を送っているがん患者が避難所で健康レベルを維持するための支援方略についても究明中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度は新型コロナウイルス感染症患者への対応のため、内諾が得られた研究対象者との面談が延期された。対面でのインタビュー調査ができずオンライン方法でのインタビューを実施したが、詳細な聞き取りを行うためには場を共にした対面でのインタビューが有効と考え、2022年度は対面での調査とした。相互の日程調整、遠方への移動等に時間を要し、研究は進捗しているものの遅れを取り戻すまでには至っていない。 現在14名の対象者からデータを収集しており、データを追加しながら分析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
追加データのための対象施設、対象者との調整は順調に進んでおり、研究計画書のとおり約30件のデータを収集したところで分析をまとめる。また、本研究者に係る災害支援の専門家を招いて会議を開催する。会議の開催は3回を予定しており、①データ収集と分析結果の報告、②災害教育に必要なプログラムの項目とその構成、③具体的内容を含めた教育プログラムの構築を行う。 この内容には、これまで並行して調査・分析してきた避難所におけるがん患者への支援方略も含める予定である。
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Causes of Carryover |
2020~2021年度に新型コロナ感染症の影響を受けて、データ収集が当初の計画よりも遅れたが、2022年度は徐々に研究の進捗が回復した。そのため、2023年度は必要な機器類、調査に係る旅費、学会発表の旅費等の経費として使用見込みである。
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Research Products
(7 results)