2021 Fiscal Year Research-status Report
要支援・要介護在宅高齢者の脱水指標探索と熱中症防止意識向上に向けた取り組み
Project/Area Number |
19K11186
|
Research Institution | Osaka Shin-Ai College |
Principal Investigator |
上田 博之 大阪信愛学院短期大学, その他部局等, 教授 (00203448)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 芳光 大阪国際大学, 人間科学部, 教授 (70144566)
豊島 めぐみ 梅花女子大学, 看護保健学部, 助教 (70773274)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 在宅高齢者 / 熱中症 / 脱水 / 体水分量 |
Outline of Annual Research Achievements |
日常の訪問看護・介護において測定された多周波数生体電気インピーダンス法による体水分量の脱水指標としての信頼性を検討するために,女子大学生7名を対象に測定実験を実施した。日常の学生生活において起床時から水分摂取制限をする場合と制限しない場合のほぼ同時刻に測定した体水分量の個人内比較をした。各被験者は水分制限有無の条件で通常の学生生活を営める測定日を4~8日間設定した。体水分量測定前6時間の水分摂取量の平均値【最小値・最大値】は水分制限条件延べ23日で97【0・350】(mL)、無制限条件延べ28日で432【100・700】(mL)であった。6時間の排尿量の平均値は制限条件280(mL)、無制限条件365(mL)で、いずれの被験者も測定日に発汗の自覚はなかった。被験者ごとに制限・無制限条件の体水分量の平均値を算出し、対応のあるt検定を実施した結果、有意差は認められなかった(t=-.262, p=.802)。しかし、測定前3時間に100(mL)以上の飲水した測定データを除外すると、体水分量は無制限条件に比べて制限条件が少ない傾向であった(t=-2.191, p=.071)。これらの結果から、日常生活における多周波数生体電気インピーダンス法による体水分量測定は脱水指標になり得るが、特に飲水や食事など測定前の行動に影響されることが確認された。訪問看護・介護を想定した場合、測定前の飲水や食事行動の確認が必要であり、それらの確かな情報がない場合は体水分量で必ずしも脱水の危険性を見出すことはできない。独居の要サポート高齢者など行動把握の難しい対象者に対しては、熱中症重症化リスク要因となる体水分量を含めた複数の指標から総合的に判断する方策を提案する必要がある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
サポートが必要な在宅高齢者の脱水指標を明らかにし,支援家族や介護員の熱中症予防への意識・関心の向上を目的とした。CIVID-19感染拡大により在宅高齢者を対象として測定・調査はもとより訪問看護ステーション等への調査も難しい状況が続いている。 若年成人を対象とした高温環境におけるインターバル運動で、脱水率とインピーダンス法による体水分量の高い相関関係が認められたことから、多周波数生体電気インピーダンス法による体水分量の脱水指標としての信頼性を確認した。しかし、日常生活における体水分量測定では、測定前数時間の飲食・飲水が測定値に影響して、測定前の行動を把握できない場合には、測定した体水分量により必ずしも脱水の危険性を見出すことができないと推察した。要介護1~3の在宅高齢者を対象にした夏季生活環境調査で、体水分率の低い傾向を示す高齢者に、比較的高い温度の居室で過ごす傾向や重ね着の傾向が見られた。軽度の介護においては、介護員が高齢者宅で被介護者と関わる機会や時間が短く、脱水を見極める客観的指標は少ない。インピーダンス法による体水分量に加えて居室環境など容易に確認できる複数の指標を熱中症重症化リスク要因として総合的に判断する方策を提案する必要がある。 これらの情報から在宅高齢者の熱中症防止に関するアセスメントを提案して介護員の意識向上を目指したが、訪問看護ステーション等へ制限が続いて実施できていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの測定実験やフィールド調査・測定で得られたデータの多面的解析を通して、介護者が観察可能な高齢者の熱中症リスク要因を探索する。熱中症発生の機序とともにリスク軽減のためのアセスメント、介入策について介護者にわかりやすく説明する教材を作成する。
|
Causes of Carryover |
本年度に実施できなかった熱中防止に関するアセスメントの提案を含めた教材作成とその評価を行う。作成ならびに評価のための謝金が必要となる。
|