2019 Fiscal Year Research-status Report
認知症高齢者における大脳の機能維持を目的とした手洗いの検証
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19K11210
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
徳重 あつ子 武庫川女子大学, 看護学部, 教授 (30555644)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 恵 武庫川女子大学, 看護学部, 准教授 (60295772)
横島 啓子 国際医療福祉大学, 小田原保健医療学部, 教授 (50369469)
杉浦 圭子 武庫川女子大学, 看護学部, 講師 (10563877)
鈴木 みゆき (岡みゆき) 兵庫医療大学, 看護学部, 准教授 (30510987)
久保 孝富 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 特任准教授 (20631550)
片山 修 神戸市看護大学, 看護学部, 准教授 (20295778)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 認知症 / 手洗い / 自律神経活動 / ワーキングメモリ / ボタン押し課題 / 高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
手は重要な感覚器であるため、日々行う手洗いは、高齢者の大脳や自律神経活動を促し、生体を活性化させる看護ケアとなり得る可能性がある。そこで本研究では、認知症のある高齢者を対象に食前の手洗いによる継続的な介入を行い、認知機能と自律神経活動の点から段階的に検証を行っていく予定である。 2019年度は「研究1」として、健康高齢者20名(男性10名、女性10名)を対象とした基礎研究を行った。20名全員に水、湯、擦式消毒剤(ゲル)を用いた3種類の手洗いを、1日につき1種類の方法で計3日間実施してもらい、自律神経活動評価指標、ワーキングメモリ、主観について比較評価を行った。 対象者は73.1(SD4.1)歳、IADL(手段的日常生活動作)の平均値は、男性は5.0満点で4.9点、女性8.0満点で8.0点であった。手洗い用の水と湯は、一般の水道蛇口から出るもので、水温の平均値は18.4(SD1.3)℃、湯温の平均値は40.1(SD0.3)℃であった。3種類の手洗い方法について「目が覚める感じ」「頭がはっきりしてくる感じ」についての比較では、1位は水12名(60%)、湯6名(30%)、擦式消毒剤2名(10%)の順に回答者が多かった。手洗い前後のその時の気分についてVAS法で評価してもらったところ、水では「楽しい気持ち」「すっきりしている」「頭が冴える感じ」の値が有意に増加、「緊張している」の値が有意に減少していた。湯では「すっきりしている」「リラックスしている」「頭が冴える感じ」の値が有意に増加、「緊張している」の値が有意に減少していた。擦式消毒剤では「すっきりしている」「頭が冴える感じ」の値が有意に増加、「気持ちが沈んでいる」の値が有意に減少していた。GDS5(高齢者うつ尺度)では、手洗い後に得点が低下した人が、水で4名、湯で1名、擦式消毒剤で3名いたが、統計学的な有意差は認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は、健康高齢者を対象に基礎研究の実施を計画しており、予定通りに年度内に実施することができた。新型コロナウィルス感染症の影響により、データ分析を行う時間の確保が難しい状況であったため、自律神経活動評価指標、ボタン押し課題によるワーキングメモリデータの分析を現在行っているところである。 2020年度は、「研究2」として高齢者福祉施設における食前の手洗いにおいて、現在どの方法が最も多く用いられているか、郵送による実態調査を計画している。データ分析の結果をみながら、進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度に行った基礎研究の自律神経活動評価指標、ボタン押し課題によるワーキングメモリデータの分析を2020年9月頃までに終了し、「研究2」の郵送調査調査の準備を進め、年度内に発送する予定である。
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Causes of Carryover |
研究協力者への謝礼金として10万円を計上していたが、個人研究費など他の財源を利用することができたため、次年度使用額が生じた。2020年度は郵送調査を行う予定であるため、封筒やラベルシール等の費用として使用していくこととする。
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