2020 Fiscal Year Research-status Report
高齢者介護施設におけるインフルエンザ感染制御体制と排泄物取扱い方法に関する研究
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19K11221
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
脇坂 浩 浜松医科大学, 医学部, 教授 (80365189)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 宣明 愛知県立大学, 看護学部, 教授 (70261831)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 感染対策 / 高齢者介護施設 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者介護施設におけるインフルエンザの感染制御システムの構築の一環として、1介護老人保健施設における感染制御体制の実態調査について報告した。A県の1介護老人保健施設の職員100名を対象に高齢者介護施設における感染対策マニュアルなどをもとに作成した質問用紙調査を実施し、60名(60.0%)の有効回答を得た。感染症予防対策として、「手指衛生」「手指衛生に関連した習慣的行動」では、概ねどの場面においても高い実施率を示したが、フロアへ移動前後(25.0-28.3%)、手のスキンケア(41.7%)は低い実施率であった。ワクチン接種では、インフルエンザワクチン接種率は88.3%と高く、その他のワクチン接種率は5割に満たなかった。感染対策の研修では、研修内容にかかわらず、定期的に参加する者は5割未満であった。感染制御の質向上のために、フロアを移動する前後の手指衛生、手のスキンケア、インフルエンザ以外のワクチン接種率の向上、定期的に参加できる研修内容の企画が望まれることが判明した。本報告は、感染管理看護研究会誌に論文として掲載した。 また、高齢者介護施設の職員を対象にした感染制御の研修を実施した。四日市市介護・看護人材育成事業にかかる看護研修(四日市看護医療大学看護医療交流センター受託)において、介護施設における感染制御の講義の依頼を受け、2回開催した(2020年10月16日、2021年3月5日)。三重県立看護大学公開講座「With コロナ時代に、私たちにできる身近な感染対策のヒント」(2021年1月23日)の講師を務め、介護施設並びに一般市民の方に新型コロナウイルス感染症における対策について講義した。受講者からの質問、アンケート結果などにより、新型コロナウイルス感染症だけでなく、ノロウイルス等の排泄物の取扱いにおける感染対策についての課題を抽出することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1介護老人保健施設における感染制御体制の実態調査の成果を論文にして報告できた。しかし、全国的な新型コロナウイルス感染症の感染伝播状況により、高齢者介護施設への入室が禁止となったため、インフルエンザの感染制御システムとして作成した「健康診断チェックシート」「感染伝播動態の経過記録」「予防投与の判断のためのフローシート」を検証する調査が実施できなかった。 また、研究者、研究協力者とオンラインで話し合うことはできたが、所属施設の感染制御に関わる行動規範により、集合して研究活動に取り組むことができなかった。また、衛生材料が不足していたことから、オムツ交換を含めた排泄物の取扱いについて観察調査が行えず、学内で患者モデルを用いた排泄物の取扱いにおける介助者の曝露状況調査も実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
高齢者介護施設におけるインフルエンザの感染制御システムの構築に関する研究として、作業負担が少ない消毒機器(パルス方式キセノン紫外線(UV)照射ロボット)を用いた環境消毒の有効性について検証を行う予定である。新型コロナウイルス感染症によるパンデミックな状況はまだ収束の目途がたたないため、高齢者介護施設ではなく関連病院(浜松医科大学医学部附属病院)の協力を得て実施する予定である。また本調査は、研究者が所属する当該病院の感染対策チームの協力と承諾を得て実施する予定である。また、介護老人保健施設と特別養護老人ホームを対象に調査したインフルエンザの集団感染を分析し、本年度中に論文を投稿予定である。 オムツ交換に用いる衛生材料を準備できるようになったため、患者モデルを用いた排泄物の取扱いにおける介助者の曝露状況調査を実施する予定である。新型コロナウイルス感染症における感染予防は引き続き必要なため、ワクチンを受けた研究者、研究協力者と取り組む予定である。研究協力者である看護学科4年生3名と現在研究計画を検討中である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、新型コロナウイルス感染症の感染伝播状況により、以下のように研究が遂行できなかったためである。 まず、全国的な新型コロナウイルス感染症の感染伝播状況により、高齢者介護施設への調査が中止、学術集会における演題発表形式は誌上発表となったため、予定された旅費、人件費・謝金の使用がなかった。また、使い捨ての衛生材料が購入できず、患者モデルを用いた排泄物の取扱いにおける介助者の曝露状況調査も実施できなかったため、衛生材料や患者モデルなどの物品費の使用が殆どなかった。
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