2021 Fiscal Year Research-status Report
高齢者介護施設におけるインフルエンザ感染制御体制と排泄物取扱い方法に関する研究
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19K11221
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
脇坂 浩 浜松医科大学, 医学部, 教授 (80365189)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 宣明 愛知県立大学, 看護学部, 教授 (70261831)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 感染制御 / 高齢者介護施設 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者介護施設におけるインフルエンザの感染制御システムの構築に関する研究として、ベッドを汚染する多剤耐性菌とATPに対して、パルス方式キセノン紫外線(UV)照射ロボットLightStrikeを用いた消毒効果を検証した。LightStrikeから1mの距離に設置したベッド柵の内側と外側に多剤耐性菌(VRE,ESBL,KPC,AmpC)の培地を置き、UV照射し多剤耐性菌とATPを計測した。ベッド柵の外側においてUV照射した全培地からコロニーは検出されなかった。ベッド柵の内側ではVRE(77.7%)、ESBL(12.7%)、KPC(42.0%)、AmpC(17.0%)は減少したが残存を認めた。ATPではベッド柵の外側(47.1%)、内側(38.8%)ともに減少を認めた。研究成果は2022年度学術集会で報告予定である。 新型コロナウイルス感染症により高齢者介護施設での調査が実施できなかったため、関連病院において高齢者を中心とした人工呼吸器官関連肺炎予防のための口腔ケア関連調査を2022年1月より8月まで実施している。 高齢者介護施設の職員を対象に、排泄物の取扱いを含めた感染制御の研修を実施した。四日市看護医療大学看護医療交流センターにおいて、在宅で実践できる感染対策、施設でできる感染対策の講義を担当した(2021年10月8日、2022年2月18日)。名古屋市社会福祉協議会において名古屋市高齢・障害福祉職員研修「感染症対策研修」を2回担当した(2021年7月9日、2021年10月1日)。受講者のアンケート結果に基づき四日市看護医療大学の研究者と、訪問看護における感染制御の実態を見出すためのアンケート調査を2022年度4月より取組んでいる。 研究者が所属する浜松医科大学附属病院感染対策チームと連携して、新型コロナウイルス感染対策に取り組み、共同研究として学術集会の報告に携われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
全国的な新型コロナウイルス感染症の感染伝播状況により、高齢者介護施設への入室が関係者以外禁止となったため、インフルエンザの感染制御システムとして作成した「健康診断チェックシート」「感染伝播動態の経過記録」「予防投与の判断のためのフローシート」を検証する調査が実施できなかった。また、研究者、研究協力者とオンラインで話し合うことはできたが、所属施設の感染制御に関わる行動規範により、集合して研究活動に取り組むことができず、学内で患者モデルを用いた排泄物の取扱いにおける介助者の曝露状況調査も実施できなかった。 よって、本年度は高齢者介護施設の療養環境を想定したパルス方式キセノン紫外線(UV)照射ロボットLightStrikeを用いた消毒効果を検証した。また、調査協力の得られた関連病院において、高齢者を対象とした人工呼吸器官関連肺炎予防のための口腔ケア関連調査を開始することができた。高齢者介護施設の職員を対象に、排泄物の取扱いを含めた感染制御のオンライン研修の講師を担うことで、訪問看護における感染制御の実態と課題を見出すためのアンケート調査を開始することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症の感染伝播状況の影響を受けて、高齢者介護施設におけるインフルエンザのアウトブレイクが2020年より殆ど見当たらないため、レトロスペクティブスタディとして、過去のインフルエンザのアウトブレイクを解析し有効な感染制御を見出す予定である。研究成果は、2022年度に学術集会への演題登録と学会誌への論文投稿を行う予定である。 新型コロナウイルス感染症の感染予防として、研究者が密な状況を避けなければならなかったが、現在はワクチン接種が進み、実験が可能となったため、排泄物の取扱いにおける介助者の曝露状況調査を実施する予定である(2022年9~12月)。 多剤耐性菌とATPに対して、パルス方式キセノン紫外線(UV)照射ロボットLightStrikeを用いた消毒効果を検証した結果は、2022年度日本環境感染学会学術集会で報告する予定である。 高齢者を中心とした人工呼吸器官関連肺炎予防のための口腔ケア関連調査を2022年8月まで続け、2023年度日本クリティカルケア看護学会学術集会で報告し、論文を投稿する予定である。 訪問看護における感染制御の実態と課題を見出すためのアンケート調査を2022年5月まで続け、2022年12月までに分析し2023年度学術集会で報告する予定である。
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Causes of Carryover |
全国的な新型コロナウイルス感染症の感染伝播状況により、高齢者介護施設への調査が中止、学術集会における演題発表形式はオンライン発表となったため、予定された旅費、人件費・謝金の使用がなかった。今年度は、日本環境感染学会学術集会において一般演題の発表が予定されている。また、新型コロナウイルス感染症のクラスター感染の疫学調査するために、関連施設へのヒアリングを予定しているため、旅費、謝金の使用計画がある。加えて、高齢者介護施設を対象としたインフルエンザの感染伝播動態の解析に関する論文投稿を予定しているため、論文投稿に関連した予算計画がある。高齢者を対象とした人工呼吸器関連肺炎予防のための調査も継続するため、検査費用などの消耗品の予算計画がある。 新型コロナウイルス感染症の感染予防として、研究者が密な状況を避けたため、患者モデルを用いた排泄物の取扱いにおける介助者の曝露状況調査が実施できなかった。よって、衛生材料や患者モデルなどの物品費の使用が殆どなかった。現在はワクチン接種が進み、感染予防に配慮した実験場所を設けることが可能となり、排泄物の取扱いにおける介助者の曝露状況調査を実施するため、関連する物品費を予算に掲げている。
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Research Products
(2 results)
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[Presentation] 当院入院患者における新型コロナウイルスのヌクレオカプシド(N)及びスパイク(S)タンパク質に対する血清抗体の保有率調査2021
Author(s)
古橋 一樹, 片橋 一人, 鈴木 利史, 高岡 雅代, 澤木 ゆかり, 脇坂 浩, 片桐 由起子, 望月 啓志, 戸口 明宏, 名倉 理教, 前川 真人
Organizer
日本環境感染学会総会プログラム・抄録集36回
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