2023 Fiscal Year Research-status Report
高齢者介護施設におけるインフルエンザ感染制御体制と排泄物取扱い方法に関する研究
Project/Area Number |
19K11221
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
脇坂 浩 浜松医科大学, 医学部, 教授 (80365189)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 宣明 愛知県立大学, 看護学部, 教授 (70261831)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 感染制御 / 高齢者介護施設 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者介護施設における感染制御システムの構築に関する研究として、訪問看護ステーションにおける新型コロナウイルス感染症の陽性者・濃厚接触者への訪問時の感染予防策の遵守状況と遵守困難の要因について調査した。調査の結果、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)陽性・濃厚接触者への訪問時の感染予防策の遵守状況とそれが困難な要因を明らかにするため、A県内の訪問看護ステーション185施設に34項目からなる無記名自記式質問紙調査を実施した。結果 書類未着で返戻された2施設を除く183施設のうち,72施設から回答を得た(有効回答率:39.3%)。COVID-19陽性・濃厚接触者の訪問実績がある訪問看護ステーションは29施設であり、実績のない43施設のうち8施設は訪問要請を受けたが対応していなかった。訪問実績のある29施設のCOVID-19自宅療養者対応マニュアルに示された感染予防策23項目について、全施設が100%遵守できている項目はフェイスシールドの着用等の2項目であった。遵守率が100%と回答した訪問看護ステーションの割合が低かった項目は、訪問中の送風,15分以内の訪問時間等の5項目であった。研究成果は、学術誌に論文投稿し掲載された。 高齢者を中心とした人工呼吸器関連肺炎予防のための口腔ケア関連の調査結果を分析した。従来法(ブラッシング3回/日)と保湿ケア法(ブラッシング1回/日+保湿ケア(3回/日))を比較し、口腔内の衛生状態に差は認めなかったが、保湿ケア法が汚染状況を示すATPをより低減する傾向が示された。本研究成果は、学術集会一般演題として報告した。 高齢者介護施設における排泄物の取扱いを含めた感染制御の研修を、名古屋市社会福祉協議会において名古屋市高齢・障害福祉職員研修「感染症対策研修」を2回担当した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度と同様に、感染症法の5類移行後も、新型コロナウイルス感染症の感染伝播状況により、高齢者介護施設への入室が関係者以外禁止となったため、インフルエンザの感染制御システムを検証する調査が実施できなかった。よって、本年度は、訪問看護における感染制御の実態と課題を見出すためのアンケート調査、人工呼吸器関連肺炎予防のための口腔ケア関連調査を実施し、論文での公開、研究発表することができた。 高齢者介護施設の職員を対象に、排泄物の取扱いを含めた感染制御の研修は、オンラインで開催することができた。研修では、研修参加者と交流が図れたため、感染制御に関するニーズを抽出することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症の感染伝播状況の影響を受けて、高齢者介護施設におけるインフルエンザのアウトブレイクが2020年より殆ど見当たらないため、レトロスペクティブスタディとして、過去のインフルエンザのアウトブレイクを解析し有効な感染制御を見出す予定である。研究成果は、2024年度に学術集会への演題登録と学会誌への論文投稿を行う予定である。 高齢者を中心とした人工呼吸器関連肺炎予防のための口腔ケアの検証結果は、現在学術誌への論文投稿を進めており、2024年度中に掲載を目指す予定である。 本年度も、高齢者介護施設の職員を対象に、排泄物の取扱いを含めた感染制御の研修を開催し、感染制御の実態と教育のニーズについてヒアリングをする予定である。
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Causes of Carryover |
全国的な新型コロナウイルス感染症の感染伝播状況により、高齢者介護施設への調査が中止、演題発表した国際学会の開催地が国内となったため、予定された旅費、人件費・謝金の使用が少なかった。 今年度は、学会発表を1回、論文2編の投稿を予定しているため、旅費や消耗品の使用を計画している。 高齢者介護施設の職員を対象に、排泄物の取扱いを含めた感染制御の研修を予定しているため、演習の一環として個人防護具などの消耗品の使用を予定している。
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[Presentation] AST薬剤師の介入により感染症治療領域のフォーミュラリー作成への取り組み2023
Author(s)
森下 由加里, 片桐 由起子, 望月 啓志, 中津川 瑛美, 鈴木 利史, 高岡 雅代, 澤木 ゆかり, 脇坂 浩, 片橋 一人, 名倉 理教, 古橋 一樹, 前川 真人
Organizer
第38回日本環境感染学会総会・学術集会
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