2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of care method for Dementia with Lewy bodies using Cognitive Fluctuation observation records
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19K11235
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Research Institution | Sonoda Women's University |
Principal Investigator |
加藤 泰子 園田学園女子大学, 人間健康学部, 講師 (70510866)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 認知機能変動 / 認知症 / レビー小体型認知症 / 臨床的観察 |
Outline of Annual Research Achievements |
本人と家族の視点から抽出した認知機能変動の要素「意識・会話・活動・精神の状態」と,既存の「認知機能変動評価尺度」を照合して,「認知機能変動の観察指標(原案)」を作成した.次にこの観察指標を用いて,3名のDLBの人の認知機能変動を12日間観察し,観察指標の内容妥当性を検討した.その結果,認知機能変動の経過図は3名それぞれが異なる波形を示し,波形の特徴から,個々の認知機能変動の特徴を示すことができた.その一方で,観察指標(原案)ではDLBの特徴である極端な変動を把握しきれないという課題も明確になった.そこで、次にこの課題の修正に取り組み、低活動方向から過活動方向までの極端で幅の大きい変動を評価できる認知機能変動の観察指標を作成した。そして、この認知機能変動の観察指標を用いて,認知症看護を専門とする看護師の臨床的観察により,16名の認知機能の変化を3週間記録した. Mckeith(1996)が,「変動を特定するための最も生産的なアプローチは,信頼できる情報提供者を介することで日々の記録(日記)が非常に有用」と述べたように,看護師が日々の日常生活の中で,DLBの人の注意・覚醒障害に関連する行動変化を観察できる認知機能変動の観察指標は,認知機能変動を捉えることに有用である.さらに,看護師の臨床的観察によって示された16名の認知機能変動の結果は,認知機能変動を客観的かつ経時的に観察した世界で初めての基礎データとなった.この客観的な観察データは,認知機能変動において,変動の方向・出現頻度・変化幅が異なることを示し,変動の方向・頻度・幅を把握・分析することで,個々の認知機能変動の特徴が説明できるとともに,DLBの特徴である極端な変動が起こるパターンの把握も可能になるなど,16名の変動の特徴から3つのパターンに分類でき,各パターンの変動の特徴を踏まえた,それぞれの看護の方向性が示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は認知機能変動の観察指標を作成し、この観察指標に基づいた認知機能変動のプレ調査の実施に取り組んできた。予想以上にデータ収集(研究対象者の選定と協力施設の選定)が難しく、コロナ禍によるデータ取集の実施の困難さが重なったことから、対象者1名に対して、3か月のデータ収集期間を設定し、月単位の変動のパターンを把握する計画であったが、データ収集期間を3週間に短縮し、日内変動、数日、週単位の変動の把握に切り替えてデータ収集を実施した。その結果、予定では10組の研究対象者の調査を予定していたが、実際は16名に対して、認知機能変動を観察することができた。また、前段階の調査も踏まえると20名のDLBの認知機能変動を観察することができた。これらの観察データにより、作成した認知機能変動の観察指標は、DLB個々に現れる認知機能変動を観察・評価でき、個々の認知機能変動を特徴を示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度においては、60組に対して認知機能変動を観察する計画であったが、現在、医療機関がコロナにより逼迫している状況を踏まえ、当初の予定を変更し、認知機能変動の観察指標の簡易版を作成し、より簡便にデータ収集を行える方法の明確化に取り組むこととした。 現在作成した認知機能変動の観察指標に対する課題とより簡便にするための課題について、研究会議を持ち、認知機能変動の観察指標(簡略版)を作成する。そして、この簡略版の認知機能変動の観察指標を用いて、今後、データ収集が可能なフィールドを検討しながら、より多くの認知機能変動の観察結果を示し、認知機能変動に対するケアプロトコルの作成を目指す。
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Causes of Carryover |
データ収集が当初の予定より縮小したことにより、旅費、人件費、謝金が余ったが、これは2021年度に繰り越して使用予定である。
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Research Products
(2 results)