2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of care method for Dementia with Lewy bodies using Cognitive Fluctuation observation records
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19K11235
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Research Institution | Sonoda Women's University |
Principal Investigator |
加藤 泰子 園田学園女子大学, 人間健康学部, 講師 (70510866)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
九津見 雅美 大阪府立大学, 看護学研究科, 准教授 (60549583)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | レビー小体型認知症 / 認知症 / 観察指標 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で取り組んできた2020年度に作成した「認知機能変動観察指標」は、認知症専門病棟に勤務する看護師、つまり専門職であれば、この観察指標を用いてDLBの人の認知機能の状態を評価できたという結果は得られた。しかし、本研究は、入院など専門職によるケアの場だけでなく、地域で暮らす高齢者を支える家族など、専門職でなくても活用できる観察指標の開発を目的にしているため、次のステップとして、家族など地域で認知症の人々を支える家族介護者が使用できる、また簡便に評価できる指標が必要となる。 そこで、次の段階の研究として、地域で暮らす高齢者を対象に家族にこの認知機能変動の観察指標を用いた観察を実践してもらい、その有用性や課題を検討することとした。コロナ禍でもあり、研究者が地域に入りデータ収集が困難な状況であることから、調査方法等を熟考しながら研究計画を立案し、倫理審査で承認を得て、現在、研究協力者をリクルートしているところである。まずは、20名を目標にデータ取集を進めている。 一方では、認知機能変動観察指標を用いて認知機能の変化を見ることができるようになった結果、DLBの人の認知機能変動という症状についての原因等を明らかにできる可能性とともに、認知機能変動という症状への疑問などの課題も見えてきた。これらの課題は、本研究当初には着眼していなかった点であり、認知症に出現する認知機能が変動するという症状に対する今後の新たな課題、発展できる要素として捉えている。したがって、研究結果や収集したデータを再度分析しながら、認知機能が変動する症状の解明にも取り組んでいく方向である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、認知機能の変化を捉えることができるのか、という課題から出発しているため、2020年度に本研究の目的であった「認知機能変動の観察指標」を作成できたことから、現時点での研究はおおむね順調に進展していると評価した。しかし、「認知機能変動の観察指標」を作成できたことによって、さらに、認知症に出現する認知機能の変化をどのようにとらえ評価すればよいのか、という課題がより明確になったともいえる。したがって、この観察指標を臨床の場、高齢者が暮らす地域の場で活用でき、認知症の人や家族、ケア従事者にとって有意義なものとして活用できるものにするためには多くの時間を要することも明確になった。その課題への対応として、まずは認知機能の変動と睡眠との関連を評価することが認知機能変動のケア方法の構築において重要な課題であることが見えたため、睡眠状況や日中の活動量について活動量計を用いたデータ収集を行うこととした。活動量計を用いた観察結果と認知機能変動の観察評価指標の結果の比較により、観察指標の妥当性と信頼性が明らかになると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究としては、「認知機能変動の観察指標」を用いて、可能なかぎり、地域で暮らすDLBの高齢者や家族に活用していただき、データを蓄積していくことである。と同時に、認知症ケアの専門職にもさらに臨床の場で活用した経験を重ね、より簡便で洗練された「認知機能変動の観察指標」としていくことが必要である。そのためにも、データ収集に取り組むとともに、認知症ケア専門職者との研究会議、事例検討会等を重ねながら、研究を進めていく。 さらに、今後の研究方法として、認知機能変動の観察指標による観察結果を客観的に評価するために、24時間の睡眠や活動量を計測できる活動量計を用いたデータ収集を追加することとした。活動量計による日中の睡眠や活動量と認知機能変動の観察指標を用いた観察結果を比較分析することにより、観察指標の信頼性・妥当性を評価でき、より信頼性の高い観察指標の作成につながると考えている。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため、予定していたデータ収集の目標人数に達することが困難であった。そのためデータ収集に必要な経費等の執行が計画通りになされず、次年度使用額が発生した。そこでデータ収集に協力していただける人数を増やすことが今後も困難と予測されることから、協力下くださった協力者に対して、活動量計による観察も加えることで、人数は目標に達せずとも、より質の高いデータ収集・分析が行える方法とした。現在、研究協力者のリクルートを開始していることから、次年度以降はデータ取集・分析において研究費の執行が発生する予定である。また研究結果についても今後は学会等現地に参加し積極的に発表し、論文投稿等も進めていく方向であり、計画的に執行が進められると考える。
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