2019 Fiscal Year Research-status Report
高齢期、慢性・虚弱化、終末期患者家族支援としての介護者QOLの定量化に関する研究
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19K11239
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Research Institution | Kwassui Women's College |
Principal Investigator |
山口 智美 活水女子大学, 看護学部, 教授 (60360062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井口 悦子 活水女子大学, 看護学部, 准教授 (20363476)
當山 裕子 琉球大学, 医学部, 講師 (90468075)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | QOL / 家族介護者 / 高齢期 / 虚弱化 / 終末期 / ケア文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
人の生活史を締め括る高齢期、慢性・虚弱化から終末期の諸問題は非常に複雑である。特に少産・高齢多死社会化が加速する本邦の介護や看取りの問題は、被介護者のみならず家族介護者の健康・QOL(生活の質)やケア文化及び社会・医療制度の根幹に影響する。しかし、日本の介護者支援やQOL研究は他国に遅れている現状がある。被介護者を介護し、看取る過程を生きる家族介護者の支援がこれまで以上に重要になる。 これまでに日本型ケア文化に関する質的研究(Yamaguchi他,2016)及びカナダMcGill大学の家族介護者QOL尺度(QOLLTI-F:Choen他,2006)日本語訳版試験から日本人家族介護者の特徴を捉える研究を継続してきた。本研究はこれらの結果を踏まえて、先の尺度に新項目(日本文化的構成要素及び周辺要素)を加えた日本版家族介護者QOL尺度開発の継続的試験を行うことを目的としている。尺度を作成し、多様な場や状況下でケアを行う対象の協力を得ながら試験を重ねることによって、核となる構成要素及び因子を解明したい。 本研究はケアの担い手である家族介護者を重要なヘルスケア人的資源と捉えて調査し、日本のケア文化に適した家族介護者QOL尺度の開発・定量化を試みることで、海外に遅れている日本の介護者QOL研究分野の発展に資すると共に、家族介護者を支援し、今後国内で不可欠となるアドバンスケアプランニングにおける家族アセスメントや在宅死を支える地域包括ケアシステム構築の一助としたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた2回の検討会(研究会)を開催し、家族介護者QOL尺度項目についてディスカッションを重ね、2020暫定版を含むプレテスト用質問票の作成に至った。また、研究代表者所属機関の倫理審査申請を行い承認を得た。現在、共同研究者所属機関の倫理審査申請中である。ホームページの更新も終えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通り計画を遂行する。共同研究者所属機関倫理審査の承認が得られ次第にプレテストを開始する。検討会(研究会)を開催し、分析結果の共有及びディスカッションを行う。並行して作成した英語版を基に、海外の研究協力者とも意見交換を行い検討内容を深める。成果については国内外の学会で公表を試みる。 ただし、昨今の新型ウイルス感染拡大の影響から臨床現場でのプレテスト実施がかなり遅れる可能性があり、危惧している。また、公表予定であった国際学会への参加については既に参加を断念せざるを得なくなっている。令和2年以降の研究遂行に支障が出る可能性がある。
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Causes of Carryover |
研究分担者の1人が不慮の事故に遭遇、受傷し入院治療及び退院後のリハビリテーション期間が発生した。研究内容への貢献については支障はなかったが、研究費の執行については予定学会等の出張が困難となり、滞ったという経緯がある。また、回復後には新型コロナウイルス感染拡大防止のための自粛が要請された。新型コロナウイルス感染拡大状況の推移に影響されなければ、今後のフィールド調査や学会参加等が積極的に行われることが見込まれるため、執行には問題がないと考える。
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