2020 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の脱水状態を簡便に判定できる尿比重値判定グッズの量産化に向けた課題克服
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19K11241
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
大平 勇一 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (00250522)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 尿 / 比重 / 尿比重 / 脱水 |
Outline of Annual Research Achievements |
工学技術・知見を活用して、熱中症による高齢者の死傷者を減らすための脱水状態を安価で簡便に判定できるグッズをプラントエンジニアとトライアスリートという異色のコラボレーションで開発中である。自分自身の脱水状態を「安価で」、「簡単に」、「素早く」、「誰でもどこでも」判断できる「判定キット」を開発する。判定キットは、ポリプロピレン球、ステンレス棒、接着剤で比重調整した浮き(比重値1.020±0.001)と容器からなる。容器は市販品を使用するが、浮きは自作する必要がある。 昨年までに、φ19.0 mm(体積3.59 cm3)のポリプロピレン球に3.0 mmの孔を開け、そこに接着剤約0.05 gを塗布した後、浮きの質量が3.660~3.667 gとなるように質量を調製したステンレス棒を埋め込んで作製した浮き100個の比重を塩水で測定したところ、比重1.015~1.026となった。比重値が設計値である1.020±0.001となった浮きは100個中43個であった。この原因がポリプロピレン球の体積変化にあると考えた。2019年度はポリプロピレン球に穴をあける際に万力で挟む力によってポリプロピレン球の直径変化が変化することを明らかにした。穴をあけた後のポリプロピレン球の直径をマイクロメーターで測定することで、設計値である1.020±0.001となった浮きは100個中63個となり、歩留まりが向上した。2020年度は質量に焦点を当てて検討を行った。分銅を用いて使用している天秤の正確さを確認したところ、わずかではあるが値がずれており、それが製作時の精度に悪影響を及ぼしていることが分かった。これを補正して浮きを製作したところ、設計値である1.020±0.001となった浮きは100個中81個となり、天秤の正確さを補正することで歩留まりをあげることができるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ポリプロピレン球、ステンレス棒、接着剤で比重調整した浮きを作製するにあたり、製作した浮きの比重値が設計値よりも大きくなる現象は、浮きの質量が大きくなる、もしくは、浮きの体積が小さくなる、のいずれかで起こる。質量が変化する因子としては、接着剤が考えられる。また、体積が変化する因子としてはポリプロピレン球の直径(体積)変化が考えられる。2019年度は接着剤塗布量の影響を検討した。しかし、接着剤の質量変化は比重値に影響を及ぼすほど大きくないことが明らかとなった。試作を通じて得られた知見をもとに比重値が設計値からずれる原因が浮きの体積にあることがわかったため、浮き体積の変化について検討を進めた。浮きを製作する際、ポリプロピレン球に穴をあける。このとき万力で挟む。最小読み取り長さ0.001mmのマイクロメーターで測定することによってポリプロピレン球の直径変化が変化することがわかった。この直径変化を考慮することで浮きの歩留まりが43%から63%に向上した。2020年度はさらなる歩留まり向上を目的として測定器の正確さの再確認を行った。その結果、わずかではあるが天秤の値が基準と下分銅の質量からずれており、浮きの比重値に悪影響を及ぼしていることがわかった。これを補正することで、歩留まりはさらに向上し、81%となった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は直径19.0mmよりも小さいポリプロピレン球を用いて浮きを設計・製作する。具体的には、直径19.0mmで確立した設計・製作法をもとに、直径12.7mmのポリプロピレン球で浮きを製作する。直径が小さくなることで体積が小さくなるため、製作時の精度が今まで以上に要求される。これまでに得られた知見を加味して浮きの設計を行うことで、高い歩留りで浮きの製作が可能になると思われる。過去2年間に得られたデータとともに統計学的品質管理の手法を用いて一般化し、量産化への製作指針を確立する。
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Causes of Carryover |
昨年度の繰越金約59千円と交付を受けた600千円で研究を進めた。物品費459千円,旅費等200千円を計画していたが、新型コロナウイルス感染症流行により出張が減ったため、旅費等としての支出は、道内調査旅費(約11千円)・オンライン研究会参加費(1千円)のみであり、約188千円を旅費等として使用できなかった。これを物品費にあてることで研究を推進し、物品費として約612千円(その他:材料の送料1千円を含む)を使用した。残金として約34千円の残金が発生した。残額である約34千円は2021年度分と合わせ、ポリプロピレン球などの少額物品の購入に使用する予定である。また、新型コロナウイルス感染症の流行状況にもよるが出張ができない場合、旅費等は物品費にまわして研究を推進する。
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Research Products
(1 results)