2019 Fiscal Year Research-status Report
看護と介護の協働による認知症高齢者の心不全の疾病・生活管理のためのマニュアル作成
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19K11269
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
大津 美香 弘前大学, 保健学研究科, 准教授 (10382384)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 認知症 / 心不全 / 介護 / 疾病管理 / 生活管理 / 多職種連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度の計画に沿って、先行研究、日本心不全学会の作成したガイドライン、老人保健健康推進等事業報告書等を基に、文献検討を通してマニュアルに含むべき内容を検討した。高齢者施設における認知症高齢者の心不全の疾病と生活管理に際して、次のような問題点が挙げられた。①内服に対して不服や拒否を示すことがある、②水分の摂取不足を生じることがある、③水分を過剰に摂取することがある、④食事の摂取量が不足することがある、⑤塩分を過剰に摂取することがある、⑥過活動になることがある、⑦低活動になることがある、⑧便秘になり、心負荷がかかることがある、⑨心不全が悪化した時に症状が出現しづらい。また、先行研究から、感染症、発熱、脱水は高齢者施設に入所する認知症高齢者の心不全の悪化の要因として上位を占めていた。心不全治療のベストプラクティスである急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)によると、在宅療養において心不全の疾病管理で必要とされる内容は①薬物治療と非薬物治療、②運動療法、③患者、(家族)、介護者あるいは、医療従事者による症状モニタリング、④継続的な身体的、精神的、社会的機能の評価(体重、栄養状態、検査所見の結果、ADL、精神状態、QOLの変化など)、⑤患者、家族および介護者に対する心理的サポートの提供などが挙げられていた。 文献検討の結果から、ガイドラインに沿って、認知症高齢者に特有な問題を取り入れたマニュアルが求められると考えられた。感染症対策、認知症の行動心理症状への対応、過活動になりすぎないように穏やかに生活を送るための援助も必要となる。高齢者施設では、看護職員と介護職員が連携をして、認知症高齢者の疾病管理と生活管理を行うことが求められるため、連携方法についてもマニュアルに含める必要性があることが示された。そして、これらの内容を含むマニュアルの原案を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は研究第1段階として、マニュアルの枠組みの設定と原案を作成することであった。先行研究や急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年)から、①慢性心不全の悪化予防に必要な疾病・生活管理に関する援助内容の抽出、②在宅療養生活を送る認知症高齢者の慢性心不全の疾病管理における特徴と悪化予防に向けた疾病・生活管理に関する内容の抽出に関する作業をおおよそ完了し、マニュアルの枠組みを作成した。また、先行研究等から、高齢者施設の介護職員が実施している身体疾患を有する認知症高齢者の生活管理の実情や看護職員との連携の実態が未解明であることが明らかになった。連携方法は先行研究等からマニュアルに含める必要性のある内容と判断したが効果的な連携方法は不明であったことから、年度末に調査を実施した。2020年度には本結果をまとめ、マニュアル内容にさらに追加していく。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、研究第2段階として「マニュアル原案の内容妥当性の検討・修正案の作成」のため、認定看護師から評価を受けることを計画している。具体的には、研究第1段階において作成したマニュアル原案の内容について、慢性心不全看護及び認知症看護の認定看護師各5~10名(理論的飽和により対象数を最終決定する)にインタビュー調査を行い、評価を得ることとしている。しかしながら、コロナウィルスの感染拡大の影響から、対面でのインタビュー調査は困難になると予測される。今後の動向を注視しながら、オンラインによるインタビュー調査、あるいは、郵送調査に調査方法を変更することを検討する。
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Causes of Carryover |
2019年度は文献検討の結果、マニュアル原案の作成にあたって未解明な点が明らかになり、調査を実施することとなった。そのため、10万円の前倒し請求を行なったが、3,234円の残金が生じた。残金は2020年度に実施予定の調査の費用として使用する。
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Research Products
(4 results)