2023 Fiscal Year Research-status Report
地域在住高齢者の足趾運動の効果と転倒との関連 ロコモティブシンドロームを改善する
Project/Area Number |
19K11271
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
金森 昌彦 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (20204547)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 地域在住高齢者 / 足趾機能 / ロコモティブシンドローム / 足趾屈伸運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、高齢者のロコモティブシンドローム(運動器症候群)改善に注目が集まっている。その予防のため、地域在住女性高齢者(65歳~88歳:平均75.3歳)を対象として足趾の屈伸運動トレーニングの介入効果について検討した。研究の実施にあたり、富山県の市町村自治体(富山市、高岡市、射水市、立山町)に協力を得た。まず高齢者向けの健康推進講座の一環として、足趾運動についての介入試験の方法を説明し、実施についての同意を得て行った。次に個人の協力者に対して初回調査時に毎日実施する足趾屈伸運動についての説明および実際の練習を行い、足趾運動実施チェックカレンダーを配布して実施日には○をつけるように依頼した。そして約3ヶ月後に2回目の調査を実施する形式の前向き調査を行った。運動実施群を介入群とし、運動をほとんどしなかった群を非介入群として設定した。対象者の背景(年齢・性別・身長・体重・生活機能チェックリスト(厚生労働省)、ロコモ度テスト)を確認し、測定項目として、足趾10秒テスト、足趾挟力・足趾握力、開眼片脚起立時間、立ち上がりテスト、2ステップテップについての調査を1回目に行い、2回目にはそれらの効果を調べた。 対象者は209人(継続群107人、非継続群102人)で、その結果、足趾屈伸運動を継続することにより、足趾10秒テスト(p<0.001)、足趾握力(p<0.001)、足趾挟力(p<0.001)、立ち上がりテスト(p<0.05)およびロコモ度(p<0.05)の改善が認められた(共分散分析による)。指示された運動を継続できなかった非継続群ではいずれも改善効果は認められなかった。 以上の結果から、足趾の屈伸運動を継続することで、足趾の力の全体が強化されるだけではなく、立ち上がり力(垂直方向のバランス力)やロコモ度が改善することで、転倒予防にも寄与するのではないかと期待される結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の申請課題の内容についてのフィールドワークとしての研究実施はおおむね終了したが、まだ考察にかかる部分と今後の研究課題についての文献検討などが完全に終了していない。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間を1年間延長したことで、論文の執筆は確実に実施できるものと考えている。
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Causes of Carryover |
論文執筆を完成するため、統計分析を追加する必要がある。その後に論文投稿を行い、受理、別冊作成などにあと10万円程度が必要と見込んでいる。また学会参加とそれに伴う旅費(10万円程度)、他にも文具・雑費なども必要になると考えている。
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