2019 Fiscal Year Research-status Report
地域住民の共助による高齢者の減災をめざした介入と評価
Project/Area Number |
19K11282
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
工藤 禎子 北海道医療大学, 看護福祉学部, 教授 (00214974)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 危機管理 / 高齢者 / 共助 / 互助 / 減災 / 防災 / ソーシャルキャピタル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、高齢者における減災を住民の共助によって促進することをめざし、高齢者の集団に介入を行い、介入後に減災への意識、備え、近隣の人々との共助の意識の向上などの視点から、介入効果を明らかにし、減災介入プログラムを作成することである。本研究の意義は、災害弱者となりやすい高齢者が、災害に「自助」として行う備えと、近隣との「共助」を推し進めるための実践に有用な方法を実証的に明確にする点である。 研究デザインは介入研究デザインであり、研究方法は行政との共同による地域在住高齢者への「減災プログラム(講話とグループワーク)」を実施し、その前後に減災に関する意識・行動のアンケートを行うものである。グループワークにおいては各グループに行政職員、研究責任者、研究分担者が入り、参加者の発言等を記録する。 分析方法は、量的データ(減災プログラム参加者への介入前後アンケート)は統計ソフトSPSSによりデータ分析を行い、質的データはコード化し、類似する内容をカテゴリー化を行う。対象地域は人口約5万人の地方都市であり、市内全体をカバーする7地区で、行政職員(保健福祉職と防災専門職)、地域の保健医療福祉専門職と研究者がプロジェクトを組み、方向性、介入方法、評価方法の共有など事前準備を周到に行ったうえで、2か所への介入を行った。新型コロナ感染症による外出自粛に伴い年度後半に開催予定だった2地域は開催延期となったが、実施した2か所において減災プログラム参加の120人から回答が得られ、アンケート調査から、介入後に減災への意識、備え、近隣の人々との共助の意識の向上がみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
理由の1つとして、互助共助による現在をめざしたプログラムの作成という目標に対して、研究対象地域の市の保健医療福祉職、防災専門職員、地域の保健医療福祉専門職が参加して地域の状況や問題意識を共有しながらプログラムを作り上げることができた点は、当初予定を超えるものであった。 理由の2つ目は、1年目は先行研究の知見の確認予備的調査が現実的な研究の進捗と考えていたが、自治体との介入年間計画立案により、2か所に介入ができ、さらに自治体と地域包括支援センター、地区組織の協働により、3か月後の減災の行動の実施についてもフォローアップスタデイとして把握することができた。関係機関との協働が進展し減災に関する知識、態度に加えて行動レベルの評価が可能となった点で計画以上の進展があったと考える。 減災プログラム参加者の言動の質的なデータを分析し学会報告を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナ感染症の感染状況をみながら、対象地域の保健医療福祉職、防災専門職員との話し合いにより、介入プログラムの実施時期を見定めて介入と評価を再開していく予定である。全7か所への介入のうち残り5か所への介入を続ける。減災プログラムの実施においては、感染所予防の対策を実行しつつ、当初の目的に合った地域ぐるみの減災への取り組みを促していく。本研究に関する研究報告は、全地域のデータがそろってから統合した形でのパブリケーションの予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の蔓延により、予定していた減災プログラム2回分を次年度以降に延期したため、旅費、人件費などの使用額が予定より少なかった。次年度以降の実施で予定通りに介入し、旅費、人件費等で支出予定である。
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