2022 Fiscal Year Research-status Report
消滅危惧集落の一人暮らし男性高齢者が生活適応の限界を判断するプロセスに関する研究
Project/Area Number |
19K11284
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Research Institution | Matsumoto College of Nursing |
Principal Investigator |
藤川 君江 松本看護大学, 看護学部, 教授 (20644298)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 一人暮らし男性高齢者 / 後期高齢者 / 消滅危惧集落 / メンタルヘルス / 一人暮らしの限界 / ソーシャルサポート |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、研究実施計画書の研究3を達成するため、福祉先進国の一人暮らし高齢者「地域包括ケアシステム」の運用と現状について視察を行った。コペンバーゲンにあるウアステド高齢者施設の視察を行った。高齢者施設では、92歳の女性にインタビューを行った。施設に入居を決めた理由について話を聞いた。女性は夫と死別し一人暮らしをしていたが、高齢であるため突然の体調悪化した時に一人では不安があり、自分で入所する高齢者施設を決めて入所した。選んだ理由は、各部屋にベランダがついていることであった。室内はリビング、寝室、トイレ、シャワールーム、ベランダがあった。入所にあたり愛着のある家具やベットを持っており、自宅で過ごしているような環境な生活を送ることが良いと話された。施設は自由に外出することができ、インターネットで友人といつでも連絡が取れる環境であるため、孤独感を感じることなく、快適な生活であると話された。在宅支援についは、コペンハーゲン専門大学看護学部高齢者看護学の教授から実際の訪問看護を受けている高齢者の写真を見ながら説明を受けた。在宅支援では、看護師が必要に応じて朝・昼・夕と訪問し支援するため一人暮らしが可能であった。在宅で最期まで生活するか、高齢者施設で生活するかは本人が決めていた。 日本の高齢者は施設に入所に対してネガティブ感情を持っている人がいるが、デンマークの高齢者施設は自分が選んで決めた生活を送っているため、満足感があった。日本の高齢者サービスは、本人と家族の希望を取り入れているが、家族に迷惑をかけたくないから施設に入所する高齢者が多いと思われる。今後は一人暮らし高齢者が増えることが見込まれている。高齢者本人が介護を必要となった時に在宅で暮らすか施設に入所するかを決めて、本人が決めたことを尊重し、保健医療福祉の専門職が支援する必要があると今回の視察で学んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年度と同様に今年度も新型コロナウイルス感染症の拡大により行動制限があった。本研究の対象者は、人口が少なく高齢化率が高い地域であり、対象者が高齢であるため対象者の感染リスクと安全を優先して調査に行くことができなかった。そのため、対象者への聞き取り調査ができなかった。 しかし、昨年度計画していたデンマークの高齢者施設への視察調査については、日本からの渡航者・日本人に対する各国・地域の入国制限措置や行動制限措置等の緩和により、視察調査に行くことができた。当初の計画通り進んでいないため、全体として予定よりも遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は、熊本県多良木町及び和水町、福島県三島町、宮城県石巻市網地島の消滅危惧集落の一人暮らし男性高齢者を訪問し、身体・心理・社会的状況について詳細に聞き取り調査を行う。また、デンマークの高齢者施設を視察して、入居している利用者のインタビューや施設の管理者の話をまとめ、日本の高齢者福祉の現状と課題を保健医療福祉の多角的視点から考察する。そして、一人暮らしが継続できる身体・心理・社会的状況を高齢者自身が判断するプロセスについて考察する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大により、熊本県多良木町、和水町、福島県三島町、宮城県石巻網地島などの県外への調査研究に行くことができなかったのが原因で予算が繰り越しになった。 今年度は、新型コロナウイルス感染症が5類に移行することから、県外への調査が可能となるため熊本県、福島県、宮城県などの消滅危惧集落へ出向き一人暮らし男性高齢者に身体・心理・社会的状況などの詳細について聞き取り調査を行う予定である。
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