2019 Fiscal Year Research-status Report
Development study of driving simulation test for evaluate hazard perception · hazard prediction
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19K11296
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
小林 正義 信州大学, 学術研究院保健学系, 教授 (80234847)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 自動車運転 / 危険認知 / 危険予測 / 手掌部発汗反応 / 前頭前野脳血流動態 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、運転リハビリテーションへの活用が進んでいるドライブシミュレータによる運転能力評価を外的基準とし、研究代表者が開発した自動車運転認知行動評価装置(特許第5366248号,信州大学,2013年;以下本装置)を用いた模擬運転テストの妥当性と独自性を検証することを目的としている。本装置による模擬運転テストの妥当性が検証され独自性が確認されれば、本装置の実用化に向けた根拠資料となる。 2019年度は、市販のドライブシミュレータ(Hondaセーフティナビ)を新規購入し、セーフティーナビ操作時の手掌部発汗反応(Palmar sweating response:PSR)と皮膚電位反射(Skin Potential Reflex:SPR)、および前頭前野の酸素化ヘモグロビン(oxyhemoglobin:oxy-Hb)の濃度変化を測定するシステムを構成した。PSRの測定には発汗計(SKN-2000、SKINOS)を、SPRの測定には皮膚電位計(SPN-01,SKINOS)を用いた。oxy-Hbの濃度変化はウエアラブル光トポグラフィー(日立ハイテクノロジーズ WOT-100)にて測定し、走行場面に対応する反応を確認するために脳血流測定(WOT-100)と同期した映像を記録するビデオキャプチャシステム(WOT-VC1)を導入した。 自動車運転免許を有する20歳以上の健常成人22名を対象に、セーフティナビと本装置による模擬運転テストを実施し、進捗状況に示す2つの課題を検討した。なお、主要評価場面として、セーフティナビと本装置の映像より「危険予測場面」を選定し、両装置による応答を検討した。本研究は本学の医倫理審査委員会の承認を得て行い(承認番号4311)、実験にあたっては被験者より文書による同意を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題1.セーフティナビ操作時の手掌部発汗反応と前頭前野脳血流反応 セーフティナビ操作時のPSRとoxyHbを測定した。セーフティナビの操作時間は264.6±27.2秒で、危険予測体験に含まれる本線への合流、カーブでの停車車両追越し、直進の3場面を評価した。本線合流では全例でPSRが増加し、59%でoxyHbの増加を認めた。停車車両追越しでは77%でPSRの増加を認め、59%でoxyHbが増加した。直進では55%でPSRの変化を認めず、64%でoxyHbが減少を示した。平均反応量は、PSRは本線合流0.67、停車車両追越し0.61、直進0.49 mg/min/cm2の順に多く(p < 0.05)、oxyHbは本線合流-0.13、停車車両追越し-0.04、直進0.02 μM/mmの順に少なかった(p < 0.01)。 課題2.本装置による模擬運転テストとセーフティナビ操作時のPSR・oxyHb・主観的緊張度の比較 本装置とセーフティナビの模擬運転時のPSRとoxyHbの平均反応量と、被験者の主観的緊張度を比較した。また、本装置とセーフティナビの映像から「直進」を安全場面、本装置の「歩行者横断」とセイフティーナビの「車両割り込み」をそれぞれ危険場面とし、安全場面と危険場面の反応量を比較した。本装置では、PSRは安全場面が0.10、危険場面が0.24で、危険場面で有意に多かった(p < 0.01)。また、oxyHbは安全場面が-0.06、危険場面が-0.16で、危険場面で減少が大きかった(p < 0.01)。セーフティナビでは、PSRは安全場面が0.15、危険場面が0.28で、危険場面で有意に多かった(p < 0.01)。また、oxyHbは安全場面が-0.01、危険場面が-0.06で、危険場面での減少が大きかった(p < 0.01)。
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Strategy for Future Research Activity |
PSRの増加は危険認知による緊張状態を反映し、PSRが多い危険場面ほどoxyHbの減少が大きい傾向が確認された。危険認知にともなうPSR増加と前頭前野のoxyHb減少傾向は、これまでの研究結果とも一致しており、本装置を用いた模擬運転テストの信頼性と妥当性を示す成果と思われる。 今後は、本装置による模擬運転テストとセーフティナビによる運転能力評価をさらに継続し、計50例のデータ収集を目指す。収集したデータのうち、危険を予測する場面と、咄嗟に危険を回避する場面に注目し、PSR(反応量)、SPR(応答潜時)、前頭前野oxy-Hbの変化と、ブレーキ応答(アクセル/ブレーキの踏み替え、ブレーキ応答潜時)の変化を詳細に検討し、危険予測と危険認知を評価する本装置による模擬運転テストの独自性(有効性)を検証する。また、本装置による模擬運転テストの判定プロトコルと、今後の実用化試験の方向性(独立型、アドオン、小型化などの可能性)を検討する。
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Research Products
(7 results)