2020 Fiscal Year Research-status Report
大腿骨近位部骨折患者の骨折前の認知症と周術期せん妄の評価で機能予後を予測する
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19K11320
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
上村 智子 信州大学, 学術研究院保健学系, 教授 (80280204)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 大腿骨骨折 / 認知障害 / せん妄 / 予後 |
Outline of Annual Research Achievements |
大腿骨近位部骨折術後の高齢患者の機能予後に認知障害が影響することが分かっている.そして,この認知障害には,骨折前の認知障害と周術期せん妄の影響が考えられ,どちらか一方の障害か両方の障害かによって,機能予後やリハビリテーションのあり方が変わってくる可能性がある.しかし,この両者を分けて評価する方法は未確立である.そこで,患者の骨折前の状態を家族などから聞き取って認知障害を評価するDASC-21(地域包括ケアシステムにおける認知症総合アセスメント)を用いて,高齢患者の骨折前の認知障害を評価し,年齢,性別,併存疾患,合併症(肺塞栓症,せん妄など)など他の要因も加味して,術後の機能予後への影響を明らかにする目的で本研究を企画した. 2020年度は,予備研究を実施し,2021年2月に本研究を開始した.年度内に19名(88.0±4.8歳,居宅者14名と施設入所者5名)のデータが登録された.連続例から、同意不可2名と再骨折1名が除外された.DASC-21を13名は家族,5名は施設職員,1名は本人への聞き取りで実施した結果,骨折前の認知障害が中等度の人が8名,軽度の人が7名,無しの人が4名であった.中等度障害の6名と,軽度障害の2名に周術期せん妄を認めた.従来の報告同様に,骨折前の認知障害は周術期せん妄の有無に影響していたが,認知障害が有ってもせん妄の有る人と無い人が混在しており,今後は,この違いが機能予後にどう影響するかを追跡する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は,地域医療の中核を担う急性期病院の患者を対象とした臨床研究で,患者の家族などに面会して実施する研究計画であったため,研究遂行には,COVID-19感染拡大の直接的影響を受けた.このため,従来の計画の大幅な変更を要し,準備に時間が必要であった.
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Strategy for Future Research Activity |
急性期病院において,高齢患者の入院前の状況を家族から聞き取り,退院後の機能予後を追跡する本研究の取り組みは重要ではあるが,COVID-19感染拡大が続くなか,実施困難な挑戦的課題である.このような状況にあっても,実施可能な研究計画に変更した結果,患者の登録件数が伸びており,本年度中には予定登録数を満たす見込みである.このため,研究期間を1年延長することで,研究完了をめざすこととした.
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響を受けて、研究開始が遅れたため、研究終了日を1年間延長することにした。本年度は、研究協力施設を増やして対応するため、データ収集を依頼する研究者の研修や、データ収集に要する費用を支出する予定である。
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