Neurophysiological mechanisms of onomatopoeia effects on language processing

2022 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 19K11322
• Research Institution: Kobe University
• Principal Investigator: 今井 絵美子 神戸大学, 保健学研究科, 保健学研究員 (20827589)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 片桐 祥雅 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 上席研究員 (60462876)
• Project Period (FY): 2019-04-01 – 2024-03-31
• Keywords: オノマトペ / 心象 / 言語処理 / 脳波 / ガンマ波パワー / 深部脳活動 / 背側前部帯状回 / 身体化認知

Outline of Annual Research Achievements

本研究は、オノマトペと心象アクセスに係る背側前部帯状回（dACC）に代表される深部脳機能のダイナミックな活動を解析し、オノマトペの言語処理促進作用の神経生理学的基盤を解明することを目的とする。さらに、オノマトペのもつ言語処理促進キューとしての作用に着目し、心象アクセスに有効な手段であることを検証することを目的とする。本年度は、これまでに実施してきた語産生課題およびオノマトペと絵の整合性判断課題中の脳波解析結果の検証を重ねた。具体的には、課題遂行中のdACCのダイナミクスを反映する後頭部のアルファ波強度（事象関連深部脳活動、ER-DBA）と頭頂部の事象関連ガンマ波パワー（ER-γ）の解析に加え、ERPsを解析し、ER-DBAとER-γが課題中に同相して下降してdipを形成するタイミングが、刺激の意味処理に先行するという特徴を発見した。
ガンマ波の強度は統合する情報量を反映することが考えられる。一方、ER-DBAの脱賦活は記憶に関連するデフォルトモードネットワークへのdACCのアクセスを意味することをこれまで明らかにしてきた。この両者が発話やボタン押しといった行動に先行することは、課題達成に必要な行動やエネルギーコストをdACCが統合し、情動的に情報を処理することに関係していることを示唆する。また、オノマトペを刺激とする課題時の方が反応前のER-DBAのdipが深く、反応後にバースト的に生じるER-γが強いことも確認している。ER-DBAとER-γとがオノマトペが言語促進キューとして有効であることを証明する指標となることを確信するに至ったことは、本研究が目的とする神経生理学的基盤解明に向けて大きく前進した。また、ERPsを並行して解析することにより、オノマトペが有するキューが言語的意味処理に先行する情動的な情報処理、すなわち身体化認知である可能性を示唆することができた。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

状況絵に関連するオノマトペの想起課題およびオノマトペと状況絵の整合性判断課題を万全な感染防止対策の下で実施した結果の検証に、新たにERPs解析を導入することで言語的意味処理に先行する情報処理の存在を明らかにした。これがオノマトペのもつ言語処理促進キューの一つである身体化認知である可能性を示唆した。しかしながら、感染症未終息状況に影響され、当初予定していた被験者試験は、十分な被験者数を確保することができず統計的有意を得て試験を完了するまでに至らなかった。

Strategy for Future Research Activity

背側前部帯状回の活動を反映する事象関連深部脳活動と脳の情報統合に関連する自発的ガンマ波、およびERPsを解析手法とし、オノマトペが心象にどのようにアクセスし、脳機能を賦活するかを明らかにするため、オノマトペ産生および理解課題、および、オノマトペまたは一般語彙から連想できる語を列挙する語連想課題中の脳波計測試験を追加実施する。解析司法に身体活動を反映するミラーニューロンに関連する頭頂部μ波を加え、総合的に解析する。オマトペが心象アクセスに有効であることは、身体化認知を伴うことを示すことで実証可能であると考えられるため、追加実施する試験では筋電の随伴運動の有無も解析する。また、語連想課連想される語の共起ネットワーク分析を行い、身体性認知が基盤となっていることを含めた心象アクセスに係る脳機能ネットワークの全容解明をする。

Causes of Carryover

感染症拡大継続状況下で当初予定していた被験者試験を遂行できなかったため、研究成果発表が捗らず、期間延長と次年度使用額が生じた。被験者試験に係る消耗品調達、論文執筆に係る費用、ならびに、研究成果発表に係る費用に使用する計画を立てている。