2021 Fiscal Year Research-status Report
胸部・腰部・骨盤の3次元変位装置を用いた介助動作解析
Project/Area Number |
19K11342
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
柴田 克之 金沢大学, 保健学系, 教授 (60178902)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 腰部椎間板圧迫力 / 腰部・体幹 / 生体力学モデル / 3次元動作解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、重度な患者を移乗する際、介助者の腰部椎間板(L5/S1)に生じる圧迫力を、生体力学モデルを用いて明らかにすること。これまで我々は、既存の測定機器(超音波式動作解析装置、ビデオ画像による動作分析など)を用いて、介助動作を多面的な視点から計測してきた。しかし、前述の超音波式動作解析装置は、超音波の送受信器を介して体幹や骨盤のシグナルを計測することから、計測する動作範囲が制限することと、計測機器とセンサーが有線で結線しており、臨床場面に搬入して実際の動きを計測することが困難であった。一方、ビデオ画像による解析は小型で簡便な装置であるが、2次元の動きは可能であるが、体幹や骨盤の3次元の動きを計測することができない問題があった。今回の計測装置(マイオモーション、ノラクソン社製)は、各センサーが無線で制御され、対象者にセンサーを装着すると、センサーの個々の偏位と装着したセンサー間の変移から、身体各部位の角度を容易に計測することができる。これまでの計測装置と本計測装置による体幹・骨盤角度の計測誤差や偏位を算出し比較検証してきた。本年度は大学内においては、感染ガイドラインに遵守した中で実験的研究を実施した。そこで、学生間の身体的な接触(コンタクト)を可能な限り回避させるために、模擬患者にはダミー人形(高齢女性、標準体重45kg、身長150cm)を用いて、介助者(学生)がダミー人形を移乗介助する方法を計測した。具体的な介助方法は、ベッド上に端座位となったダミー人形を前方へ引き起こして持ち上げ、介助者の両足部を回転軸として回旋させて、方向転換して椅子に移乗する介助方法を計測した。計測前に何度も練習を行い介助方法を習得としたと確認後、計測を実施した。今回、計測した被験者6名の試行を繰り返すことによる再現性は保たれていた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験的研究となる本研究では、コロナ禍、学生を対象として被験者をリクルートすることが困難であった。そこで感染予防管理の中、限られた被験者データを用いて、異なる測定機器による計測精度、計測値の変位などの比較と試行間再現性を検証してきた。従来までならば、模擬患者と介助者をそれぞれ学生に依頼して、被験者、介助者として計測することができた。しかし昨年度も大学内においては、対面での実験的研究が制限されていた。そこで模擬患者にはダミー人形を代替として用いて行った。介助者(学生)はダミー人形をベッド上から持ち上げ、回旋させて椅子に移乗する介助方法を計測した。5-6名の被験者での試行間再現性は保たれていた(r=0.92). 計測精度に関しては、計測室の磁場の影響またはダミー人形に装着したセンサーが視覚的には可動して、センサーの変移はリアルタイムに計測できることが確認できたが、センサー間の変移を捉えることができない問題が明らかになった。現在、その問題を補完する対策について検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
収集できたデータは6名の小サンプルデータであるが、サンプル間の施行間再現性をさらに追求すること。さらに、計測精度およびセンサーの変位の分散を少なくするための測定環境やセンサー取り付けなどについて検討していく予定である。そして、今年度は最終年度のため、これまでの方法論をまとめて、測定方法によるメリットとデメリットに分類して、計測する用途にわけて計測機器を使用する対策を明示していくことを計画している。
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Causes of Carryover |
本来、計画していた実験研究が遅延しており、3年目にデータを計測したまとめて、論文投稿するための投稿料、翻訳料を支出することができなかった。今年度は最終年度であり少ないデータであるが、測定機器や測定方法による差異を明示して論文化を進めていきたい。
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