2020 Fiscal Year Research-status Report
高気圧による酸化ストレスが糖尿病のインスリン非依存的糖代謝経路に及ぼす影響と応用
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19K11346
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
藤田 直人 広島大学, 医系科学研究科(保), 講師 (90584178)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 高脂肪食 / 肥満 / 耐糖能異常 / 白色脂肪組織 / 慢性炎症 / 高気圧処置 |
Outline of Annual Research Achievements |
高脂肪食誘導性の肥満モデル動物に対して高気圧処置を行い、肥満の進行、並びに耐糖能異常に及ぼす影響を検証した。 雄性SDラットに対して8週齢の時点から高脂肪食(水分6.5%、粗タンパク質24.7%、粗脂肪14.1%、粗繊維3.3%、粗灰分5.6%、可溶性無窒素物45.8%)を摂取させ、32週齢の時点において肥満、及び耐糖能異常が生じていることを確認した。 33週齢の時点から1.3気圧の環境に1日8時間(22:00~6:00)暴露し、40週齢の時点(高気圧処置開始から7週間後)において体重測定、及び経口糖負荷試験を実施した。 体重、及び糖負荷後の血糖値に関して、高気圧処置を実施した群と非処置の対照群の間に有意差を認めなかった。高気圧処置を継続し、49週齢の時点(高気圧処置開始から16週間後)において改めて測定を実施したところ、33週齢の時点と同様に、体重、及び糖負荷後の血糖値に関して、高気圧処置を実施した群と非処置の対照群の間に有意差を認めなかった。 49週齢の時点(高気圧処置開始から16週間後)において精巣上体脂肪における炎症性サイトカイン(TNFα、IL-6、IL-1β、IL-10)の発現量を計測した。上述した全てのサイトカインにおいて、高脂肪食摂取による過剰発現、及び高気圧処置による発現量の顕著な変化を認めなかった。 これらの結果より、本研究における高脂肪食誘導性肥満モデルの白色脂肪組織は、明らかな慢性炎症には至っていない可能性が示された。また、高気圧処置が耐糖能異常に及ぼす影響は、肥満のモデルによって異なる可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
我々が実施した先行研究において、過食による肥満モデル動物に対して高気圧処置を実施したところ、耐糖能異常の軽減、及び炎症性サイトカインの発現抑制が確認された(Fujita, J Diabetes Res 2019)。よって、高気圧処置による抗炎症作用を更に検証するため、過食による肥満モデルよりも慢性炎症が強いと考えられる高脂肪食誘導性肥満モデルを用いて高気圧処置の影響を検証した。しかし、今回の高脂肪食誘導性肥満モデルは予想に反して慢性炎症が軽度であり、高気圧処置による抗炎症作用の検証が十分に実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
過食による肥満モデルと高脂肪食による肥満モデルの間で、高気圧処置の有効性に差異を認めたため、モデル動物の再検討、並びにモデル間での違いを検証していく予定である。 また、これまでにターゲットにしていた臓器は白色脂肪組織と骨格筋であったが、より異所性脂肪の沈着や慢性炎症の影響が強いと考えられる肝臓や褐色脂肪組織にも着目し、その影響を検証していく予定である。
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Causes of Carryover |
未使用額が2480円生じたが、少額であり、研究の遂行に伴う物品購入金額の誤差範囲内である。この未使用額は翌年度に繰越、試薬など、消耗品等の購入に使用する予定である。
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