2021 Fiscal Year Research-status Report
消化管知覚過敏を軽減させるニューラルフィードバック練習装置の開発
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19K11368
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
小川 豊太 (濱口豊太) 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (80296186)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田山 淳 早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授 (10468324)
西郷 達雄 北海道医療大学, 心理科学部, 講師 (50622255)
鈴木 誠 東京家政大学, 健康科学部, 教授 (80554302)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 過敏性腸症候群 / バイオフィードバック / 脳波 / 脳腸相関 / リハビリテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、過敏性腸症候群(IBS)に見られる脳腸相関の異常に着目し、安静時脳波を指標として脳波フィードバック練習装置を開発することを目的としている。成人のIBSには、腹痛に関連した脳活動パターンなど、特定の腹部症状が脳波上に示されることがある。デコードされたニューロフィードバック(DecNef)は、症状のある人が症状のない人と比較して脳の活動パターンを自己制御できるようにするバイオフィードバック練習の一つである。DecNefは、IBS患者の腹痛を自己制御するために使用できる。 IBSのDecNef練習を確立するには、症状のある人と健康な人の間でIBSの脳波(EEG)パターン(EEGシグネチャ)を区別できる分類器を開発する必要があった。また「分類器」の精度を評価する必要がある。2021年度は、IBSの症候性および無症候性の若年成人から得られたEEGデータを分析して、サポートベクターマシンベースのIBS分類器を開発し、その有用性を検証した。 EEGデータは、IBSのある28人とIBSのない24人より記録した。 EEGデータは高速フーリエ変換分析によって周波数分析し、IBS分類器はサポートベクターマシンを使用した教師あり学習によって作成した。今回は、作成した分類器によるIBS症状の診断精度は、脳全体と前頭、頭頂、および後頭領域で検証した。脳全体と前頭葉領域でIBS分類器の精度が90%を超えて推定できた。この研究の結果は、EEGデータを使用してIBS症状の有無を判断できることを示唆した。 IBS分類器を使用すると、EEGは、症状の有無に関するフィードバックを患者に提供するのに役立つ場合がある。この結果は、IBSの自己管理戦略を開発するための基礎となる。2022年度は引き続き今回作成した分類器を搭載したアプリケーションを作成する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染対策のため、約2年間にわたり人間を対象とした実験に制限があり、予定していた被験者数に到達することができなかった。本研究は2021年度までに終了予定であったが、脳波バイオフィードバック練習のアプリケーションの基盤となる分類器を作成することは2022年度に延期した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究はIBSの症状をセルフマネージメントするための脳波バイオフィードバック練習装置を開発することであった。2021年度までに安静時脳波からIBSと非IBSの特徴をα波、β波のパワースペクトラから検出し、症状の有無を判定できる分類器の作成までができた。このあとは、この分類器を脳波計と表示器とを備えたアプリケーションに実装して完成させる予定である。ただし、今回作成したIBS分類器は、安静時脳波からα波とβ波を取り出し、これを教師あり学習によりサポートベクターマシンで作出したものであった。今後は、脳波周波数解析を省略してパターン解析に挑み、アプリケーションの応答速度や正診率を高められるかといった、反応高速化を図ることで練習方法の最適化を図っていきたい。
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Causes of Carryover |
2021年度までに準備していた実験が新型コロナウイルス感染予防対策のために実行できない期間があり、予定していた被験者数を得るまでに時間がかかった。そのため、アプリケーションの開発が遅れ、止むなく2022年度に開発を延期した。このため、2022年度に予定していた開発費を使用することとした。
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