2022 Fiscal Year Research-status Report
Prevention of cognitive impairment by comprehensive rehabilitation targeting vascular endothelial glycocalyx
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19K11371
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
東條 美奈子 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (80327345)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 血管内皮細胞機能 / 血管内皮グリコカリックス / 心血管病増悪予防 |
Outline of Annual Research Achievements |
①横断的研究 動硬化性疾患予防ガイドラインおよび急性・慢性心不全診療ガイドラインに沿った動脈硬化進展予防と心不全治療が行われている高齢慢性心血管疾患患者を対象とし、動脈硬化性疾患および慢性心不全の進行に影響を与える因子を分析する横断研究を行った。心臓二次予防外来において経時的実施されている定期心臓精密検査と、心臓リハビリテーションで系統的に実施される身体機能検査および生活状況調査(生活環境、ADL、身体活動)、心臓リハビリテーション実施状況などの項目を診療録より調査した。新型コロナウイルス感染拡大防止対策に伴うリハビリテーションの診療規模縮小や診療体制の変更に伴い、一時的な研究の中断や登録患者数の減少が課題となっている。 ②リハビリテーション介入の効果 新型コロナウイルス感染症対策等により心臓リハビリテーションの長期介入効果が評価できた症例数が限られているため、本研究期間に有意な臨床研究結果を見出すことが難しいと考えられた。そこで研究③として、公開されている心臓・血管組織の遺伝子配列データベースを用いた、AI機能解析モデルを用いた探索的研究を追加した。 ③遺伝子配列データベースを用いた新規バイオマーカ候補の抽出 NCBI-Gene Expression Omnibus databaseを用いた解析において、大動脈弁狭窄症患者の病態悪化と関連する重要な遺伝子としてVCAM1, FHL2, RUNX1が見出された。これらのうちVCAM1とFHL2は血管内皮グリコカリックス障害との関連が強く示唆される結果であり、RUNX1は石灰化の進行度を評価する新たなバイオマーカとしての可能性が期待される。さらにこれらの可溶型分子やドメイン結合分子を明らかにすることにより、認知機能低下の新たなバイオマーカや、リハビリテーションの効果判定指標としての新規バイオマーカ候補の検討をすすめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症対策等により、臨床研究の症例登録や外来リハビリテーション継続体制の状況に変化が生じ、当初、予定していた方法での研究遂行の困難が予想された。この状況を打破するために、研究の一部については公開されている遺伝子配列データベースを用いた解析に切り替え、目的とする新たな標的分子の探索を進めた。幸い、予測していた以上に良い結果が得られており、その一部はすでに 論文化することができたため、上記区分を(2)とした。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた臨床研究のデータ解析を継続するとともに、公開遺伝子配列データベースを用いた検討において、高齢心血管患者の病態進行に関与する新たな分子マーカの探索を進めていく。
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Causes of Carryover |
2022年度の残金は1401円であったが、辻褄合わせのためだけに無駄に研究費を使用したくないと考え、次年度に繰越のうえ、必要な文房具購入などに有効に活用させていただきたいと考えている。
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