2019 Fiscal Year Research-status Report
痛み知覚および運動による鎮痛効果に対する腸内細菌叢と摂取栄養素の影響
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19K11376
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Research Institution | Nagoya Gakuin University |
Principal Investigator |
城 由起子 名古屋学院大学, リハビリテーション学部, 准教授 (30440663)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 腸内細菌 / 痛み / 栄養 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年~2020年度の研究目的は健常成人および慢性疼痛患者を対象に腸内細菌叢組成、摂取栄養素と痛みの関係を明らかにすることとしていた。健常成人を対象とした腸内細菌叢と痛みの関係に関する研究については、82名を対象に測定を行った。その結果、Bacteroidetes門の保菌率が低く、Firumicutes門の保菌率が高いほど痛みの感受性が低下する可能性を認めた。しかしその傾向は男女で異なる可能性があり、男性においてのみ腸内細菌と痛みの感受性の関係が明らかであった。また、腸内細菌叢組成と中性疼痛調節機能との関係は認められなかった。腸内細菌の組成に性差があることや痛みの感受性に性差があることは多数報告されているが、腸内細菌の組成と痛みの感受性の関係にも性差があることは新たな発見であり意義深いと考える。この結果については現在論文を投稿中である。慢性疼痛患者を対象とした研究については、現在68名の測定が終了しているが、腸内細菌の組成と疼痛強度の関係は現時点では明らかな傾向を認めていない。引き続き対象を増やし、疼痛強度に加え心理因子との関係や、疼痛部位による違いなどの検討を進めていく。また、摂取栄養素を含めた研究については、健常者を対象に測定を進めており、痛みの感受性は摂取栄養素にも何らかの影響を受けている傾向はあるものの、現時点では対象数が少なく安定した結果は得られていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019~2020年度に予定していた課題について、健常者に関する研究は結果をまとめ論文投稿手続きまで行えている。しかし、慢性疼痛患者を対象とした研究については、予定サンプル数にはまだ達しておらず、また当初推測していた結果は得られていない。今年度中にサンプル数を増やし、検討を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は慢性疼痛と腸内細菌層組成の関係を明らかにすることを目的とした研究を中心に進める。また2021年度に予定している、運動介入による鎮痛効果と腸内細菌組成の関係についても実験参加者の募集準備等を進める。
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Causes of Carryover |
メインアウトカムである腸内細菌組成の検査費用を確保するために、予定していた測定機器の購入を取りやめ代替品を使用したことで、次年度使用額が生じた。繰り越しとなった助成金は主に腸内細菌組成の検査費用として使用する。
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